Team of Rivals: The Political Genius of Abraham Lincoln の感想

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参照データ

タイトルTeam of Rivals: The Political Genius of Abraham Lincoln
発売日販売日未定
製作者Doris Kearns Goodwin
販売元Simon & Schuster Audio
JANコード9780743539135
カテゴリ » 洋書 » By Publisher » Simon & Schuster

購入者の感想

本書(“Team of Rivals”)は、ペーパーバックの本文だけで750頁、二箇所ある貴重な写真頁に注釈と索引を含めると900頁を超える大著である。しかも、翻訳が未だ無いので当然原書を英語で読むことになる。映画の原作本(“The Notebook”)位しか英語の本を読んだことがなかったのに、オバマ新大統領の愛読書だという理由だけで本書を手にした余りの無謀さに自分でも可笑しくなった。でも、オバマは言っている。’Yes,we can!’と。私の中でChangeがその時Challengeに変わり、二ヶ月弱で読了することが出来た。

リンカーンといえば奴隷解放を実現した誰でも知っている歴史上の偉人だ。ラシュモア山に刻まれた横顔や記念館の入り口に腰掛けた巨大な石像から受ける印象は、その風貌と相俟って風雪に耐える大樹の如くいかめしい。残念ながら南北戦争時代の米国に関して、映画(「風と共に去りぬ」「ギャング・オブ・ニューヨーク」「ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記」など)から仕入れた貧弱な予備知識しか持ち合わせていない私を、当然のことに数多い歴史用語が戸惑わせる。幸いなことに本書には注釈と索引が完備されているし、主要な用語(例えば’Copperheads’=心情的に南部連合に同情を寄せる北部人)なども大抵の英和辞典にちゃんと載っているから余り心配はいらない。

本書は政治学的アプローチを試みた歴史研究の本としての枠を超えて、著者が女性だからなのか、リンカーンの家族はもとより、政治的ライバル達の家族(妻や娘、息子たち)に注がれる眼差しが柔らかく、暖かい。同時代的な証言者としての彼女ら、彼らの手紙や日記からの引用が多くて、リンカーンだけでなく閣僚たちの人となりや考え方の相違、政治上の対立構造が手に取るように判る。更に当時の立場の異なる新聞の論説や他の研究者の論評が加わり、史実の裏付けと迫真性が増している。

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