蟹に誘われて の感想

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参照データ

タイトル蟹に誘われて
発売日販売日未定
製作者panpanya
販売元白泉社
JANコード9784592710684
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

見知った道から知らない道に意識せず迷い込んだ感覚。
あたりはどこか見慣れた景色なのに、けれどここはどこなのだろうと不思議に思う。
この漫画のすごいところは読者を見慣れない景色に誘っておいてそのままにしないところです。
きちんと出口まで案内してくれる、それで、読んだ後には安心する。
迷子になったときの不安、見知った道に出たときの安心感。子供のときに見知らぬところを冒険したような興奮も。
そんな不思議で面白いお話がたくさんつまっています。

この人の書く絵は、好きな人はとことん好きになるしそうでない人は本当に読めないかもしれません。それくらいキャラクターの強い作家さんであり、世界観であり、物語が詰め込まれています。「蟹に誘われて」は短編集「足摺り水族館」と同様の作品集です。表題作の「蟹に誘われて」はいつもと同じ風景の中に突如として現れた野生のタラバガニ(ズワイガニ)を追い求めて景色の中に新鮮さを見るもの。重々しく重厚感のある街の背景に、童話的でありながらシニカルな目を持つ少女が浮かび上がります。作品の終わりに作者のショートエッセイ(のようなものがあるのものいい)。この方は文章で世界観を書くのも上手ですね。同じようにいくつもの短編が詰め込まれて、統一された雰囲気の中にそれぞれの異世界を読む事ができます。
少し値段が高い、というのがつらいところですが、前作、足摺り水族館と同じ路線の上にあるので期待はずれということはないと思います。初めてこの作家さんを読むという方は、前作のレビューを読まれてみるのもいいかもしれません。

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