猫語の教科書 (ちくま文庫) の感想

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参照データ

タイトル猫語の教科書 (ちくま文庫)
発売日販売日未定
製作者ポール ギャリコ
販売元筑摩書房
JANコード9784480034403
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » イギリス・アメリカ

購入者の感想

原題は「Silent Miaow 声に出さないニャーオ」で、これは猫を飼った人なら経験のある飼い主を簡単に籠絡してしまう猫のしぐさ。その解釈として、はたして猫が本当に、意図的に本書に書いてあるように意図的に切り札として使っているかはさておき、猫をよく観察し、それ以上に、飼い主をよく観察して書かれた本。内容は、猫自体より、飼い主の人間側の観察が主体で、猫を飼った経験がある読者なら、自分自身の経験と照らし合わせてうなずけるところ。また、この猫側の視点からの人間の観察が大きく、男性、女性、子供と三様に書かれており、自分に当てはまらないカテゴリーを読むことで、家族で猫を飼った経験のある人なら、家族の構成員がどのような気持ちで猫と接していたのかが、指摘されるようで興味深い。原作者のポール・ギャリコは男性であるが、それが雌猫の視点で書いたため、このようなアプローチが可能となったと思われる。ギャリコの女性に対するコメントは鋭い。「作者と思われる」猫の白黒写真も多数収録されているが、とくにタイプライターを打っているであろう表紙の写真と14-15ページの写真は秀逸。以下はニヤリとさせられる文章。

これを書いた猫は自分がメスであることをうちあけているが、こんなことはわざわざいわれなくとも、すぐわかる。というのも、この本のあちこちには実に意地悪きわまりない文章があって、こんなものはメスでなくては書けない。p9

猫嫌いだと思いこんでいる男を降参させることくらい痛快なことはありません。p28

男は怒り、文句をいい、どなればどなるほど、女から無視されます。p28

猫が人間を支配下におくためには「猫というものは独立心が強く、人間の思いどおりにはならない」という評判がとても役に立ちます。p46

奥さんは猫と同じ方法で、ご主人をあやつっている。逃がしてやるふりをして、かわいそうな獲物がホッと息をつくと、それが一巻の終わり。獲物にとびかかって、とどめの一撃を加えるのです。p50

この教科書は子猫だけでなく、猫の飼い主のためにもなりそうだ。この本は、ペットと仲良く暮らすためのコツというものを教えてくれる。p198

ある賢いメス猫の手になる「いかに人間の家をのっとり、
快適に過ごすかのマニュアル」…という設定の本です。
猫たちの可愛い仕草や無邪気に見える行動の裏には、実は
こんな思惑があったりして?というユーモアに満ちていて、
安っぽく見られがちな動物もののフィクションを、風刺でも、
お涙頂戴でもなくこんな風に書けるのは、ギャリコならではです。
追記しておくと、これは、猫を知るための本ではありません。
猫の仕草や行動をじっくりと観察していて、猫について既に
よく知っている人達が、「こういう仕草、猫ってやるよなあ」と
言いながら、くすりと笑うための本です。
実際に猫を飼っている/飼ったことのある人にはわかると
思いますが、猫を飼うというのは、あの愛らしい生き物の
召し使いに自ら好んでなるということです。
そうしたやや自虐的かつ愛に溢れたユーモアを読みとれる
人なら、きっとこの本を気に入ることでしょう。

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