アメリカの小学校に学ぶ英語の書き方 の感想

英語で考えることの手伝いが出来そうな、簡単そうで難しい本です。

何度か、しっかり、読んで、その大きな価値にハッキリ気づく・・というタイプの本です。この本は！！

アメリカの小学校の教科書で英語を勉強しよう！的な書籍は多いのですが、この本は、まったく別物です。アメリカ人の思考の基本、原型はこうやって形造られるのだぁ・・と、腑に落ちます。

本書は小学校（幼稚園ふくめ）6年間で、「書く」ということの基本を身に着けるための指導手順を、段階をおって紹介しています。
それは、次にめざす、中学校でリサーチペーパーという膨大な課題に取り組むための準備段階です。

幼稚園：書くということに慣れるため、文字で説明が足りない箇所は絵で補う（すでにプレゼンＰＴＴのスキル！）このとき５Ｗ１Ｈがきちんと書かれているかどうか？チェック。とにかく、何を伝えたいのか？５Ｗと１Ｈで言葉にする訓練。

小学1年：メインアイデアがあるか？全体の構成がきちんとしているか？ルール（大文字、小文字、句読点）スペル、プレゼンの完成度

小学２年：単語のスペルを正確にし、４スクエアメソッドで全体の構成を上手に組み立て、それを、適切な接続詞でつなげる。

小学3年：Ｖｏｉｃｅ　つまり自分の意見をいれ、メインアイデアをサポートできる事例を描写し、全体の構成と文章の流れがスムーズであるか？

小学４〜5年：4スクエアメソッドに加え、ウエヴの利用、そしてインバーテッドトライアングルで、because　で明確に理由を述べられる。
理由、根拠を相手に説得できるか？デイベートの模擬で、説得力のある文章を要求。
その場合、はじめ、中間、終わり、の３つの構成があり、それぞれのパラグラフを、話題の変化に応じた適切な接続詞を使う訓練。
5年では、タイトルが、自分の言いたいことを適切に表現しているか？それを、イントロから結論にいたるまでの流れで把握し、全体の構成がＯｋかどうか？
とくに人物、事象の記述的な文章の書き方。（これは、あくまで淡々と事象を述べる）記述表現と、説明文、解説文（５Ｗ１Ｈを欠いてはいけない）の明確な違いを学ぶ。
そして相手を説得したいときの文章は、自分の立場を明確にする（For

社会人をメインターゲットに書かれているようですが、親子英語などお子さんの英語教育に取り組まれている方にもぜひお勧めします。
子ども対象のライティングメソッドについて書かれた本というのがまず貴重ですし、ネイティブのライティング力がどの程度なのか幼稚園〜小学5年生まで学年別に書かれていますので、とても参考になりました。

生徒作品例は大変興味深いので、もう少し数多く見てみたかったです。
実際に子どもが書いた文を見ると、1年ごとに格段に高度になっていくのに感心させられます。
何を書いているか分からないような幼稚園・小1レベルから、3年生はメールなど基礎のビジネスライティングもできるであろうレベル、4年生になるとパラグラフのあるしっかりした構成の文章、5年生になると読み手を納得させるような論理的な文章になっていきます。

大人用のライティングの本が敷居が高いという方にも、小学生に使うメソッドで論理的ライティングの基本が学べますし、文字の書き始めから学年ごとに段階を追ってレベルアップしますので、今できるところから何をすれば内容も体裁も整った英作文が書けるようになっていくのか、目標が立てやすくて良いと思います。