Spillover: Animal Infections and the Next Human Pandemic の感想

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タイトルSpillover: Animal Infections and the Next Human Pandemic
発売日販売日未定
製作者David Quammen
販売元W W Norton & Co Inc
JANコード9780393346619
カテゴリ » 洋書 » Special Features » all foreign books

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動物から人間へと感染する(あるいは感染したと考えられる)ウイルスで、最近話題になったものを中心に、その起源を実話の取材と文献調査をもとに記載した本。著者は、ウイルス学者ではないが、内容はおおむね信頼できる。とりあげられているウイルスはエイズ、SARSなど。第1章は1994年にオーストラリアでコウモリから馬に感染し、現在まで4名のヒトの致死例のあるヘンドラウイルス。感染馬から、馬の調教師らがいかに感染したかなどが詳細に描かれている。一方で、ウイルスの感染源であるコウモリを絶滅させようとする考えに対しては、食物連鎖にある動物を人間の都合で絶滅させるのは、エコシステムの破壊につながるとするなど重要な提言をしている。この部分では、最新の文献まで調査がされている。ところが、一方では、ヒラリー・コプロフスキー博士によって作成された経口ポリオワクチンが、エイズの原因になったというジャーナリストによって作られた”仮説”を、取り上げているのはいただけない(”仮説”は、学会では10年ほど前に否定されている)。この部分を抜き読みした読者には、博士がマッドサイエンティストであり、ポリオワクチンが危険であるという誤った印象を読者に与えてしまう(パキスタンなどで、現在もポリオワクチンの普及が不十分な状況では、こうした誤解を与えやすい表現は不適当)。こうしたストーリーを盛り上げるためだけの既に学会では否定されている”仮説”が削除されることを再版では望みたい。第2章は70ページほどで、エボラウイルスについて書かれているが、これまで一般書にはあまり取り上げられたことのないTai Forestエボラウイルスや、ベストセラー本”ホットゾーン”の誇張表現の批判、Scienceなどの一流誌に記載された内容に関する疑問(野生のゴリラが”5000匹”も感染死したという話や生きたウイルスが検出されていないのにコウモリを自然宿主としていること)などが書かれ、ウイルス学の専門家にもお勧めの記載。巻末の文献はできれば章ごとにつけて欲しいところ。

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