国民の道徳 の感想
参照データ
タイトル | 国民の道徳 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 西部 邁 |
販売元 | 産経新聞ニュースサービス |
JANコード | 9784594029371 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
本書は、歴史・戦後・政治・文化・経済・社会の各分野を筆者がその膨大な知識をもって論じた広範な書物であり、<道徳=価値〉を巡る問いを現代に放つ、大変な労作である。
本書において展開される現在、人口によく膾炙されている「人間は生きていること、それ自体がすでに尊いのだ」という一種の人間信仰が道徳の崩壊を引き起こしたとする社会分析は、まさにその通りだと思うし、自分の生まれた共同体の受け継いできた伝統・慣習の価値をきちんと理解し、それに敬意を払うことによってのみ、価値ある生、活力ある生が生まれるのだと言う主張も深く納得できる。
他の方の書いたカスタマーレビューを拝見すると、「抽象的で内容がない」とか「何が書いてあるかわからない」など、酷評が目に付いた。確かに本書は、論理に飛躍・省略された部分があり、そこが難解かと言えば難解だ。しかし、じっくりと前後の文脈を読み込み、考えながら読めば読解は可能である。
「保守思想」と聞くと戦前の軍国主義を想起し、そこで拒否反応を起こし思考停止状態になり、嫌悪感を覚えてしまう人もいるかもしれないが、本書を熟読することによって、保守思想の豊穣さ、その魅力にの一端に触れることがでるはず。分厚いが、それを読了するだけの価値を持つ文章である。
本書において展開される現在、人口によく膾炙されている「人間は生きていること、それ自体がすでに尊いのだ」という一種の人間信仰が道徳の崩壊を引き起こしたとする社会分析は、まさにその通りだと思うし、自分の生まれた共同体の受け継いできた伝統・慣習の価値をきちんと理解し、それに敬意を払うことによってのみ、価値ある生、活力ある生が生まれるのだと言う主張も深く納得できる。
他の方の書いたカスタマーレビューを拝見すると、「抽象的で内容がない」とか「何が書いてあるかわからない」など、酷評が目に付いた。確かに本書は、論理に飛躍・省略された部分があり、そこが難解かと言えば難解だ。しかし、じっくりと前後の文脈を読み込み、考えながら読めば読解は可能である。
「保守思想」と聞くと戦前の軍国主義を想起し、そこで拒否反応を起こし思考停止状態になり、嫌悪感を覚えてしまう人もいるかもしれないが、本書を熟読することによって、保守思想の豊穣さ、その魅力にの一端に触れることがでるはず。分厚いが、それを読了するだけの価値を持つ文章である。