ねこと国芳 の感想
参照データ
タイトル | ねこと国芳 |
発売日 | 2012-10-09 |
製作者 | 金子信久 |
販売元 | パイインターナショナル |
JANコード | 9784756242877 |
カテゴリ | ジャンル別 » アート・建築・デザイン » 日本の伝統文化 » 浮世絵・絵巻物 |
購入者の感想
猫が好きで何匹も飼っていたという国芳。国芳の猫が登場する作品ばかりを集めて解説した本書を読むと、国芳の猫好き振りが良く分かります。また江戸時代の女性にも猫好きがいて、現代の猫を可愛いと感じる感覚と同じだったことも、絵を通じて実感できました。作者の金子信久氏も猫好きを自称する人で、その解説は分かりやすく、絵を深く読み込む上で参考になります。
浮世絵に描かれた猫、ということでは類書の
「江戸猫 浮世絵 猫づくし」という本が秀逸でしたが
こちらは国芳に特化しており、猫を溺愛していたという
国芳の描く猫をみっちりねっちり鑑賞することができます。
一番感動したのはラフスケッチを見られたことでしょうか。
西洋画では巨匠のラフや下絵スケッチなども作品として
鑑賞できる機会が多いように思いますが、浮世絵は
回転が速く、完成品としてしか残ることのないものなので
下絵段階の肉筆画が残っていることは大変稀有なことなのだとか。
身近な猫のさまざまなポーズを追ってスケッチを重ねていたであろう
国芳の筆を運ぶさまが目に浮かぶようです。
解説も読み物として面白いですが、先ほどあげた書籍の方が
詳細はていねいに書かれていると感じたので
資料としては互いに補完しあうものだと思います。
全ての記述に英文の解説が併記されているので
日本びいき、猫大好きな海外の方へのお土産にも
よろこばれるのではないでしょうか。
「江戸猫 浮世絵 猫づくし」という本が秀逸でしたが
こちらは国芳に特化しており、猫を溺愛していたという
国芳の描く猫をみっちりねっちり鑑賞することができます。
一番感動したのはラフスケッチを見られたことでしょうか。
西洋画では巨匠のラフや下絵スケッチなども作品として
鑑賞できる機会が多いように思いますが、浮世絵は
回転が速く、完成品としてしか残ることのないものなので
下絵段階の肉筆画が残っていることは大変稀有なことなのだとか。
身近な猫のさまざまなポーズを追ってスケッチを重ねていたであろう
国芳の筆を運ぶさまが目に浮かぶようです。
解説も読み物として面白いですが、先ほどあげた書籍の方が
詳細はていねいに書かれていると感じたので
資料としては互いに補完しあうものだと思います。
全ての記述に英文の解説が併記されているので
日本びいき、猫大好きな海外の方へのお土産にも
よろこばれるのではないでしょうか。
猫が歌川国芳にいかに愛されたのがよくわかる作品集でした。
国芳は猫好きで10数匹を飼っていたというほどで、本書も猫のオンパレードと言った様相が展開してありました。『書名に偽りなし』と思うほどの掲載量でした。それほど多く描いたというわけですが。
本書の構成は見開き2ページで1つの作品を掲載し、オールカラーで並べています。掲載作品の発色も良く、日本語の解説と欧文が載っていました。世界の人に国芳の描いた猫が愛されれば良いと願っています。
188ページ以降に掲載作品リストがあり、国立国会図書館、ボストン美術館、東京国立博物館、平木浮世絵美術館、東京都江戸東京博物館などの所蔵も散見しますが、ほとんどは個人蔵でした。保存状態の良い作品群と出会えます。
著者は江戸時代絵画史を専門とする府中市美術館学芸員の金子信久氏です。186ページに「武者絵で名をあげた画家だからか、猫の絵は、少々軽く扱われているのではないだろうか。『武者絵か、猫の絵か』。国芳の真骨頂を、そんな風に論じ合ってもよいくらいだと思うのである。」と結論付けていました。そうかもしれません。
第1章の「ねこ、ややこしくも愛おしい家族」では、可愛らしい猫の生態を上手く錦絵に取り入れた作品群が並びます。それだけで猫好きにはたまりません。本書の中核をなす章でしょう。各作品の構図の中にしっかりと猫の存在が確認できますし、大切なアクセントとして、また主題として描かれています。
第2章の「国芳の『ねこ』以外のお仕事」では、代表作とも言える「讃岐院がつかわした巨大な魚が為朝を救っている図」が90ページに掲載してありました。構図や主題も珍しく風変わりなものでしたが、これこそ国芳の真骨頂とも言える奇想の画風でしょう。現代のポップアートや漫画に続くような系譜の創始ともいえる浮世絵師だと評価しています。
なお、美術館で対面して個人的に惹かれている大判の作品「日本駄右エ門猫之古事」は掲載してありませんでした。猫を主題に扱いながらも、現代でも奇抜な構図を持つ作品ですから、新たな国芳ファンを作る意味でも掲載して欲しかったと思いました。
しおりの先にも猫がついており、遊び心も満載です。
国芳は猫好きで10数匹を飼っていたというほどで、本書も猫のオンパレードと言った様相が展開してありました。『書名に偽りなし』と思うほどの掲載量でした。それほど多く描いたというわけですが。
本書の構成は見開き2ページで1つの作品を掲載し、オールカラーで並べています。掲載作品の発色も良く、日本語の解説と欧文が載っていました。世界の人に国芳の描いた猫が愛されれば良いと願っています。
188ページ以降に掲載作品リストがあり、国立国会図書館、ボストン美術館、東京国立博物館、平木浮世絵美術館、東京都江戸東京博物館などの所蔵も散見しますが、ほとんどは個人蔵でした。保存状態の良い作品群と出会えます。
著者は江戸時代絵画史を専門とする府中市美術館学芸員の金子信久氏です。186ページに「武者絵で名をあげた画家だからか、猫の絵は、少々軽く扱われているのではないだろうか。『武者絵か、猫の絵か』。国芳の真骨頂を、そんな風に論じ合ってもよいくらいだと思うのである。」と結論付けていました。そうかもしれません。
第1章の「ねこ、ややこしくも愛おしい家族」では、可愛らしい猫の生態を上手く錦絵に取り入れた作品群が並びます。それだけで猫好きにはたまりません。本書の中核をなす章でしょう。各作品の構図の中にしっかりと猫の存在が確認できますし、大切なアクセントとして、また主題として描かれています。
第2章の「国芳の『ねこ』以外のお仕事」では、代表作とも言える「讃岐院がつかわした巨大な魚が為朝を救っている図」が90ページに掲載してありました。構図や主題も珍しく風変わりなものでしたが、これこそ国芳の真骨頂とも言える奇想の画風でしょう。現代のポップアートや漫画に続くような系譜の創始ともいえる浮世絵師だと評価しています。
なお、美術館で対面して個人的に惹かれている大判の作品「日本駄右エ門猫之古事」は掲載してありませんでした。猫を主題に扱いながらも、現代でも奇抜な構図を持つ作品ですから、新たな国芳ファンを作る意味でも掲載して欲しかったと思いました。
しおりの先にも猫がついており、遊び心も満載です。