「音大卒」は武器になる の感想

読みやすい書式で、すらすら読ませて頂きました。

皆さん書かれていますが、音大生のみならず、スポーツなど何かに打ち込んでいる人や、夢を追いかけている最中の人にも是非読んで欲しい一冊だと感じました。

私自身も、物心ついたときから打ち込んできたバレエを職にしたいと考えていた時期がありましたが、結果として今は一般企業で勤めています。
そこに行き着くまでには色々な葛藤がありましたが、今は毎日それなりに充実した日々を送っています。
仕事は一見踊りとは何ら関係のない職業に見えますが、役に立っていることは多々あると感じますし、同じように何かに必死で打ち込んだ経験や、そこで学んだものは必ずどこかで評価されるはずです。

作中には、そう前向きになれるような素敵な言葉がいくつも登場しますが、それはこれから読まれる方にとっておこうと思います。
一人でも多くの音大生にこのエールが届くことをお祈りします＊

武蔵野音楽大学で就職支援をしている筆者が、大学生を想定して著した書。
非常に読みやすい文トレイアウトなので、練習や研究に疲れた学生でも手にとりやすい。

誤解をおそれず書くと、

「いままで積み上げてきたものの価値を、しっかり認識しよう」
「あなたが『普通だ』と思ってきたこと、どんな価値があるのか、ちょっと広い視野を持って見直してみよう」

ということだが、これを読み手がナットクするように順序よく，かつわかりやすく書いてあるのは，筆力によるのだろう。

音大生だけが読むのではもったいない。美術系、体育系などの人はもとより、全ての学生に読んで欲しい本。

音大に勤務されている元一般企業人の視点からは至極もっともなアドバイス本です。
本のサブタイトルにもある［本音のキャリアガイド］と言った感じです。
音大のみならず体育大学、美術大学などを目指す中学生や高校生にも是非お勧めしたい良書です。
既に音大入学が決まっている方や在学生には、手遅れにならない内に現実的なキャリアを考える良いきっかけになるかと思います。
とりわけ私立の音大は、楽器購入も含めると在学４年間で約１０００万はかかってしまいますので親御さんの必読書とも思います。
あらためて考えると、音大を国が定める大学として位置づけるのもおかしいのでは？と常日頃から感じているところです。
とりわけ中学や高校でブラスバンドに興味を持ち、さらに発展したいと熱を持って志願する高校生の中には、トランペットなどの楽器
を一所懸命に吹いたり、色んな楽器を弾いたりすること以外に一般学業への興味が薄い人間が多いのも現実です。
良く言えば一芸に秀でたと言うことかも知れませんが。
音楽で身を立てたい方々には、フランスのコンセルバトワールのような、｢大学」ではなく「音楽の専門学校」の方が実質的では？
と思ってしまいます。
日本の多くの音大では、税金から多額の補助金が出費され、在学生も多額な学費を払い、そしてキャリアの不確かな卒業生を輩出する。
こうした負のスパイラルから脱出するのに役立つ良い本と思います。
膝を打つような専攻別（楽器別）のキャラクター表現に加えて、拡大する格差社会などのシリアスな実情紹介など、多くの事例が分かり易く
枚挙されているのも音大生が弱い社会把握に役立つ格好の本と思います。
少子化の中で若い方々が活躍されんことに期待を込めて、『“何々卒”は武器になる』シリーズの企画を続刊すると社会に役立つ企画に
なるのではと思います。