人事のプロは学生のどこを見ているか (PHPビジネス新書) の感想

　自分は企業のライン部門の経験が長く、一時人事で採用を担当したことがある者です。
　まずは、文章が学生向きにわかりやすく書かれていることに好感が持てます。次に、学生が変な小手先に走るのではなく、本質的にどういう方法で企業に自分をアピールして理解をしてもらうか、会社をどういう視点で選んでいけば良いのかがちゃんと書かれています。
　学校教育の中で、学生は必ずひとつだけ正解があることに慣れてしまっているため、ともすると就活でも唯一の正解と簡単にそれを求める方法を知りたくなる傾向になってしまうものです。しかし、企業に勤めて何年も経ってみると、なにが正解かわからない難題をいろいろな人の知恵も借りながら解き明かしていくことが求められています。そんなことを思って企業に勤めている人が学生を面接していると考えれば、きっとこの本は大変役に立つ本であると気がつくと思います。
　知り合いに学生の就職活動を支援する仕事に就いている人がいて、何人かは以前企業で人事の仕事をしていた人ですが、何人かは企業で採用経験のない方です。後者の知り合いにこの本を読んでもらった感想を聞いてみたら、企業の人事の人がこんなことを考えているんだということが書いてあって、とても役に立つと言っていました。
そんな方にもお薦めです。
　あと何年かで就活を迎える自分の息子にも読ませています。なかなか親の言うことは煩がって聞いてくれませんから。