樅ノ木は残った (上) (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 樅ノ木は残った (上) (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 山本 周五郎 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101134642 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文学賞受賞作家 » 直木賞 » 1-25回 |
購入者の感想
文芸評論家の奥野健男さんが、「若い頃、太宰治の文学に感動した人は、必ず中年になり山本周五郎の文学に感銘する。二人は単に物語が面白い文学者ではなく、自分の人生に深くかかわる、自分の人生を決定する力を持っている文学者である。」と書いていた。私も40歳。原田甲斐の自分の宿命に対する静かな諦観がこの小説の魅力。自分の行動が理解されなくてもかまわない。期待してはいけない。ただ、仙台62万石の存続のために自暴自棄に陥ることなく自分の生涯をささげる。このような生き方は苦しい。原田甲斐の子どもたちは切腹になった。それも原田甲斐の真の意図を理解せずにだ。こんなむなしい人生あるだろうか。お家取り潰しの萌芽が出たら、それを火消しすることに人生を尽くす。でも人々は理解してくれない。愚直な生き方。そしてさあ、あなたはどう生きると突きつける。長編だが、一気に読んでしまった。