ダライ・ラマの仏教入門―心は死を超えて存続する (知恵の森文庫) の感想

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参照データ

タイトルダライ・ラマの仏教入門―心は死を超えて存続する (知恵の森文庫)
発売日販売日未定
製作者ダライ・ラマ十四世テンジン・ギャムツォ
販売元光文社
JANコード9784334780050
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 仏教 » 仏教入門

購入者の感想

これのどこが「入門」なんでしょう?開けてびっくり、中身は本格的なチベット仏教の仏教哲学です。これで1年生レベルですよ、と言われれば、それはそうかもしれませんが、別に本気でチベット仏教の勉強を始めるわけでなし、一般人向けの文庫としてはレベル高すぎでしょう。「縁起と空の思想」についての記述が半分を占めます。縁起というのは諸行無常で、空というのはいわゆる色即是空の空なわけですが、ただひたすら坐禅、ひたすら南無阿弥陀仏という風土に暮らす身には縁起も空もなかなか突き詰めて考える機会がない。よって感覚的、情緒的な理解でわかったつもりでいても、実はまったくわかっていなかったんだな、とつくづく思い知らされる。まあ空というのは普通の人間にとっては詐欺で騙されたような、きつねにつままれたような気持ちにさせられる概念ではあります。というよりもチベット仏教における空性は日本の仏教の空や無とはずいぶん違うような気がするのだが、と、そのあたりのことを立川武蔵著『空の思想史』あたりでアウトラインをつかんでから本書をあたった方がいいのではないか、と思った。英文の原題からなぜ「仏教入門」という邦題になってしまうのかよくわからないが(その方がセールス的に好都合なのか?)、巻末の訳者解説だけは間違いなく入門者レベルです。

ここのレビューを見ると、どれも評価がとても高く素晴らしい内容の本であることは確かだと思いますが、ただひとつ注意して頂きたいのは、本当に仏教のことを全く何も知らない人が入門ということでいきなりこの本を読んだ場合、恐らく難しい専門用語が多くて理解しにくいだろうと思います(一応、仏教用語の解説は細かくされていますが)。世の中にはもっとわかりやく説明された仏教入門の書籍は沢山あるので、それらを読んである程度の大枠を理解してから本書に取りかかったほうがより理解が深まるだろうと思います。

この本はLondon のCamden Hall で3日間にわたって行なわれた講演をまとめた英文の書“The Meaning of Life from a Buddhist Perspective”の訳本です。原書にない翻訳者の詳細な注が、ダライラマ本人の話に勝るとも劣らない丁寧な解説で、仏教の初学者には理解の助けになります。また、日本人向けの内容として、翻訳者とのインタビューをもとにした章が新たに付け加えられています。この意味では、原書を超える内容になっています。ただし、原書と比較してみると、挿絵はすべて差し替えられおり、特に、カラーのものは原書の方が鮮明です。ダライラマが口語で話している部分が文語に書き換えられ、彼の喋ったジョークや講演が行なわれた日付けが省略されています。章の分け方も原文とことなります。また、残念ながら、質疑応答の部分がすべて削除されています。よって、原書の忠実な翻訳とはいえません。ダライラマの研究者には、英文原書をあたる必要があります。

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