人間革命〈第3巻〉 (聖教ワイド文庫) の感想

本書は、1948年(昭和23年)~49年にかけての戸田城聖の活躍を描いています。

手元の初版本と比較してわかる主な改訂点は2点。
1、表現や時代にあわない記述を変更、時代背景を修正
2、不必要に日蓮正宗に媚びた表現を客観的表現に変更

1については、全体的にソフトで現代的な表現に改められています。
個人的には1、2巻にくらべて表現の修正箇所が減ったように感じました。初版の時点で既に著者の表現がこなれてきていたのでしょうか。
東京裁判などの史実は、初版執筆以降にわかったことを加味して書き改められています。
2については、初版では日蓮正宗をヨイショしすぎていたきらいがありましたが、大幅に簡素化されました。
日亨、日昇、日淳などが描かれる箇所は初版からあまり修正されていません。

本書では、山本が戸田の思想と人間性に惹かれていく中で、戸田から声がかかり、1949年の年頭から戸田の会社の編集者として勤務しはじめる場面が描かれています。その後の戸田と山本にとって大きな意味を持つシーンです。

「漣」の章で、一軒の広宣流布と一国の広宣流布は同じ原理なのだと戸田が語る場面は、王仏冥合論を簡潔にさらっと述べているのですね。
テレビで活躍される高学歴のかしこい方が「王仏冥合」と「政教一致」のちがいが理解できないのを見ると、戸田はやはり天才なのだと感心します。難しいことを簡単に語れる人は天才です。

重要な改訂箇所としては、「宣告」の章の終わりに描かれている「心」と「生命」の話があります。
初版ではこの部分には登場しなかった「戸田の生命論(仏とは生命のことである)」が挿入されています。
創価思想の根幹は「日蓮思想」と「生命論」と「創価教育学(価値論)」なので、生命論が登場するのは正常進化の改訂なのでしょう。

(おまけ)
相変わらず、本書のレビューにも感情丸出しの批判が書かれていますね。
他の巻に投稿したレビューをコピペしてほぼ同じ内容です。
滑稽で恥ずかしくて哀れですので、どうか冷静な文章に書換えをお願い致します。

＜オリジナル＞（人間革命三巻　結実）

この若い革命家の『妙法への帰命』という理念は、具体的実践でいうならば、稀有の師への帰命、
すなわち『戸田城聖への帰命』でなければならぬことを、彼は知ったのである」

↓
＜新しいヴァージョン＞
この若い革命家の「妙法への帰命」という理念は、具体的な実践でいうならば、希有の師と一体となっての「妙法への帰命」であることを、彼は知ったのである。0