私が彼を殺した (講談社文庫) の感想

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参照データ

タイトル私が彼を殺した (講談社文庫)
発売日販売日未定
製作者東野 圭吾
販売元講談社
JANコード9784062733854
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

トリックもさることながら、東野氏は被疑者の心理描写と葛藤の記述がとても上手い作家ですね。

私も初見では犯人は誰なのか分かりませんでした。
最後で加賀から提示されたヒントを読んだ上で再読して「あーなるほど」という感じ。何気ない伏線の張り方、お見事。

・・・ただ不可解な点が2点ほど。

(※以下相当なネタバレ含みます!)

1.殺された男の元カノが自殺するが、加賀はなぜ彼女が自殺だったとあれほど自信をもっていいきれたのか?
 
彼女に思いを寄せていた被疑者の1人は、以前から彼女の知り合いだった。メタ視点をもつ読者は彼が毒物の存在について知りえたのは彼女が自殺した後だったことは分かりますが、加賀には分からないはず。そして最初の時点では彼が「自殺した彼女」に好意を寄せていたという事実も分からないはずだし、好意をもっていたという情報は本人と被疑者の1人である女性の証言からしか分かりません。刑事としては彼らが嘘をついている可能性も考慮に入れなければならないはず。
少なくとも加賀は穂高と自殺した彼女、そして彼の間の関係がこじれた結果、彼が2人とも同じ毒物を使って殺したというシナリオも考えるべきなのではないか。

つまり加賀は、レストランで電話を受けたこの男が穂高邸で彼女と会った時点で、彼女は死ぬ気はなかった可能性についても考えるべきだと思うんですよ。

もしくはこの男が彼女に例の毒物を買わせて、罪をなすりつけるためにこの毒を彼女に盛って殺し、後はシナリオ通りにピルケースのトリックで穂高を・・・っていう可能性もあるんじゃないのかなあ。芝生の草の件については、穂高殺しのシナリオのために彼がわざと仕込んだと考えられなくもないし。

その点において加賀は安易に自殺と断定しすぎな気がします。この男が彼女を殺していないという証拠がない以上、殺人の線でも捜査しないといけないのでは?もちろん読者は違うとわかってますけど・・・

以上、かなり無理やりではあるけど加賀が彼女の自殺はろくに捜査せずに所与として推理しているのが気になったので。

2.美和子の行動

本格推理小説です。容疑者の3人が交替交替に一人称で語りながらストーリーが進んでいき,
終盤,「まるでアガサクリスティの世界だな」と容疑者の誰かが言うとおり,
クリスティばりの謎解き場面が展開されます。
ただし,
「犯人はあなたです」
という刑事のひとことで終わるものの,本文中に答えはありません。
で,おもむろに,一番後ろの袋とじ解説をビリビリ破くと,
わかりやすいヒントが書いてあって,犯人が分かるという仕組みです。
よく考えて面白く作ってますね。

犯人当てに関しては,ヒントで示唆されているのが犯人だとすれば,
推理なんてしなくても,捜索とか鑑定とか,
ふつうのやり方で犯人がすぐに分かったんじゃないかと思ったり,
突っ込みどころもあるんですけど,
まあいいじゃない,これだけ凝った構成が楽しめれば
と思わせる面白さがありました。
アガサ・クリスティとかエラリー・クイーンが好きだった人は
楽しめると思います。

とにかく、読み始めたら止まらなくなってしまった。

3人の人物(容疑者)の視点をローテーションしながら物語が進んでいく。

それぞれ「僕」「あたし」「俺」という一人称を使い、題名の「私」が誰なのかは分からない。

3人とも殺人を犯す動機やチャンスがあり、心の中で自分が殺してやったのだ、と言っている。

一体犯人は誰なんだ。

終盤の、刑事が3人を追い詰めるシーンで、3人の視点が短い描写で入れ替わって

とてもハラハラする。

単純な言い方だけど、すっごくおもしろい。

あー、色々言いたい。けど言わない。

ひとまずこれは読まないといけない。

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