パリは燃えているか [DVD] の感想

VHS版を購入、昨年輸入版（当然字幕なし）を購入、字幕付きのDVDを熱望していました。

ところで、なぜ「パリは燃えているか」という題名になったかというと、芸術家になりそこねた独裁者ヒトラーは占領した芸術の都パリを掌中の玉のように大切にしていました。そして、ノルマンディーに上陸した連合軍（米・英・カナダ・自由フランス軍）がパリをうかがう地点に達した時、パリを敵の手に渡すくらいなら破壊してしまおうという狂気にとりつかれます。

爆破の専門家を大パリ司令官のコルティッツ将軍のもとに派遣し、特別編成の爆撃機編隊も用意しました。しかし、芸術の都パリを廃墟にすれば、歴史に残る悪業になることを恐れた将軍は悩み抜いた末に、スウェーデンのノルドリンク総領事の助言も受け、パリの破壊を回避することを決断します。

そんなことは知らないヒトラーは、連合軍（米・自由フランス軍）がパリに迫ったと聞いて、ドイツ国防軍最高司令部統帥部長のヨードル大将に電話をかけ、「余が命じたとおり、パリは破壊したか？　ヨードル、もう一度聞く。パリは燃えているか？」と叫んだことに由来するものです。

米軍・自由フランス軍・ドイツ軍の軍人はもとより、レジスタンス（地下抵抗組織）やそれ以外の市民に至るまで、史実に忠実に丁寧に描かれています。レジスタンスと一口に言っても、ロンドンに本拠を構えるドゴール派と、ドイツ軍撤退後のパリ、ひいてはフランス全土のヘゲモニーを握ろうと画策するロル大佐指揮下の共産党系とに分かれ、ドイツ軍という共通の敵を前にしても暗闘を繰り返していました。

そして、長い物語は大団円に向かっていきます。

この原作を一読されてからDVDを観ることをお勧めします。そうすれば複雑に入り組んだ人間関係がよくわかると思います。いったん絶版になりましたが、復刻されています。

第二次世界大戦終盤の攻防を描く超大作が漸くDVDされるとのこと、
10年以上も首を長くして待っていました。
昔NHK-BSで放送された時のフランス語版を、VHSで録画しDVDに焼い
て大切に保管していました。

ドイツ軍占領下で抑圧されながら抵抗を試みる市民を描いた前半部、
後半から終盤にかけては、モーリス・ジャールの素晴らしい交響詩
風の音楽と共に連合軍の進撃とパリ市内での戦闘、そして解放の鐘
の音と共に映像がモノクロからカラーへと変わる感動のフィナーレ。
戦争当時の実写映像も巧みに挿入されていて、3時間たっぷりと堪能
できる20世紀を代表する作品です。
（ちょっとフランス国民の熱狂っぷりにアテられますが）

オールスターキャスト．．．と言っても今の若い方にはさっぱり分か
らないと思いますが、この物語の前段となる「史上最大の作戦」と共
にセットでご覧になる価値は十分ですので、ご興味があればお試し
ください。
（WiKiなどで歴史的背景をちょっと予習しておくと良いでしょう）

パリを訪問する度、素晴らしい名所や街並みが破壊されることなく現存
しているのを目の当たりにすると、有名な主題曲が自然と脳内再生され
ます。

「レマゲン鉄橋」同様、吹き替えがないことが残念、販売前なので、７５年「水曜日ロードショー」放送時のもの入れて欲しです。でも作品は２０世紀を代表する名作です。