クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場 (朝日新書) の感想

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タイトルクラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場 (朝日新書)
発売日2013-07-12
製作者小林雅一
販売元朝日新聞出版
JANコード9784022735157
カテゴリ » ジャンル別 » コンピュータ・IT » 一般・入門書

購入者の感想

AI(人工知能)技術の応用製品が、もう世の中に出廻っているそうです。
全く存じ上げませんでしたので、本書を手にして良かったと思います。
たいへん、お勉強になりました。

本書では、先ず開発の歴史を解説し、
次に、現状の主な応用製品と、その基礎となる技術内容を解説し、
参入企業の近況を紹介しています。

戦後から数度の期待(ブーム)と失望を繰り返したAI開発の経緯と、
ビッグデータ処理技術が進んだ事を受けて、
これを応用する形でようやく身近に応用製品を目にするようになった成り行きの説明はわかりやすいと思いました。
また、主にスマートフォンのインターフェイスと、自動車の自動運転に的を絞っての技術解説もグッドです。

人との関わり合いで懸念すべき点を、頼りすぎる面と、競合する面に分けて解説した第4章「知性の陥穽」では、
懸念については話題となっていることを簡単に解説するに留め、
将棋について述べています。
AIとの対戦をプロ棋士へ提案している箇所は、大変楽しい読書となりました。

人工知能研究(AI)の動向について説明した本。「クラウドからAIへ」というより、「ビッグデータとAI」という内容である。著者によると、AIの研究は次の3つの段階を経てきたという。

1.ルールベースのAI:構文木や文法のようなルールをベースとした判断によってコンピュータに知的処理を行わせるもの。かつての主流。
2.確率統計に基づくAI:大量のデータをコンピュータに読ませて「ベイズ理論」を代表とする確率統計に基づいて知的処理を行うもの。現在の検索エンジンや自動翻訳の主流。
3.人間の大脳のメカニズムを真似たAI:人工知能の王道。実用化は難しかったが、「ディープ・ラーニング」と呼ばれる画期的な手法が登場して息を吹き返している。

ベイジアン・ネットワークのような確率統計的な手法を高い精度で実現させようとすると、大量のデータが必要になる。現在のように、コンピュータの性能が上がり、データ蓄積のコストが下がり、ネットワークを通じて多くのパソコンやスマホや携帯端末などを通じて様々なデータが飛び交う時代は、まさにそのような時代になったといえる。見方を変えれば、データをたくさん取れる立場にあればあるほどAIの利用においても優位に立てる。

本書では、自動車の自動運転、工場や介護のロボット、アルゴリズムトレーディング、コンピュータのチェスや将棋、ロボット兵器、擬似人格、といった実際の応用研究も紹介されている。また、同時に、AIが浸透した社会では、主に以下の2つの問題が生じることも指摘されている。
・人間が機械(システム)に依存し過ぎることで生じる危険
・人間が機械(システム)に雇用や存在価値を奪われることへの不安

かつて注目を浴びながら停滞していたAI研究が、IT技術の進展によってビッグデータと結びついて新しい時代の潮流を生み出していることがよくわかる。同時に、このような時代においては、知性によって知性の進路をコントロールして決めてやることが非常に重要になるということも理解できた。

AIとの付き合い方について考えることは、ほとんど避けがたいものになっている。
機械は、雇用を奪う一方で社会を便利にもしている。
この矛盾はとても悩ましいものだ。
著者である小林氏が本書を書いたのもそういう意識からではないかと思う。

本書の問いは
1.AIとはそもそも何か
2.AIは我々の社会に何をもたらし、何を奪うか
という言葉にまとめられる。

1についてはAIの歴史やそれを支える技術の説明がなされている。
2についても具体的な例で説明がある。

AIについてコンパクトにまとめられた新書はあまりないので、実用性に富んだ本だと思う。0

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