名画を読み解くアトリビュート の感想
参照データ
タイトル | 名画を読み解くアトリビュート |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 木村 三郎 |
販売元 | 淡交社 |
JANコード | 9784473019516 |
カテゴリ | ノンフィクション » 歴史・地理・旅行記 » 歴史 » 人物評伝 |
購入者の感想
コンパクトな辞書形式にまとめられていてアトリビュートとなる物とその意味、そして実例として白黒ながら多くの作品の写真が掲載されている。説明も簡潔で理解しやすいが、多少不手際がみられるのが残念だ。例えば138ページ「鷲」の項目を見ると、鷲はユピテルを象徴し、トロイアの少年ガニュメデスを誘拐するとあり、その出典としてオウィディウスの『変身物語』を挙げているが、この話はラテン詩人オウィディウスがギリシャ神話を脚色したもので、もしオリジナルの出典を示すならば、それはギリシャ神話でなければならない。しかも神々の長ユピテルはラテン語名で、本来ならギリシャ名ゼウスを使うべきだが、ここには全く記されていないし、索引を見てもゼウスの項は無い。しかしヴィーナスの説明にはギリシャ名アフロディテと注釈がある。勿論著者は読者が既にそのことを理解しているという前提で書いたのかもしれないが、初心者には不親切だろう。また絵画や彫刻のアトリビュートとして重要と思われる孔雀や林檎については全く触れていない。更に人間の五感についての説明で、視覚、聴覚、味覚、嗅覚とあるが触覚を欠いている。もうひとつが他のレビュアの方も指摘している「頭」の項で、ティツィアーノの名画に描かれている女性が果たして著者の説明しているユディットなのかという問題だが、これについてはいくらか長くなる為、下のトピック欄に投稿したので興味のある方は参考にされたい。
追記
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