英仏百年戦争 (集英社新書) の感想

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参照データ

タイトル英仏百年戦争 (集英社新書)
発売日販売日未定
製作者佐藤 賢一
販売元集英社
JANコード9784087202168
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

「英仏仲悪かったんだね。。。大陸まで討って出るイギリスは強欲なこと。。」と言うのが、私の高校時代から進歩のない百年戦争観。なんと浅はかだったことか。

ノルマン人なるフランス人がイングランドに侵攻し、王として統治していた歴史に遡れば、イングランド国王が大陸で領地求めて戦うのは大陸にある母屋を守る至極全うな家業。

著者曰く、‘’イングランド王、フランス王と、頭に載せる王冠の色や形は違えども、戦う二大勢力はともに「フランス人」だったからである。というより、領地の感覚が優先し、国の感覚そのものが希薄だった時代に、イギリスという国とフランスという国の戦争など、はじめから設定できないのである‘’。なあーるほど。国という単位を当たり前のものとして、それを前提に物事をみてしまうのは誤解のもと。

再び著者曰く、‘’国民国家という大前提は、フィクションを創るための約束事なのだといえる”

既にシェークスピアは国民国家に目覚めた観客を相手にしていたため、百年戦争についても国民国家を前提とした見方になっているのだとか。これをシェークスピアシンドロームと称するそうです。

私自身、シンドロームにかかってたと認めざるを得ません。フランス側からみると全然違うのは想像がつくとして、国民国家が成立していなかった時代のことを、国民国家のスクリーンにかけて見ると間違った絵を見ることになってしまいます。

「歴史はフィクションだ」。そうした言葉に地肉を与えてくれる、面白くも得難い一冊です。

これと全く同じ内容を西洋史で学んだことがあります。
講義は本書と同じぐらい興味深かったのですが、やはりテキストは冗長な感じで、我々が歴史に感じる魅力を減退させているように思いました 笑

その点、本書はこの時代の各国の本当にややこしい有様の中で、フランスとイギリスを取り出し、さらに現在我々の云うところの、”百年戦争”に的を絞っているので、読んでいる側としても頭の中がごちゃごちゃにならず、タイトルにもなっている『英仏百年戦争』を理解するのには非常に良い本だと思います。

個人的に印象に残ったのは、ジャンヌ・ダルクを「発見」したのがナポレオンだということです。
このあたりはナショナリズムなんかの思想とも相俟って、読んでいて非常に面白かったです。

ただ、ところどころ著者の主観も混じるので、あくまで「歴史読み物」くらいの認識に留めておいたほうが良さそうです。
歴史に全く興味のない人にはあまり面白くなく、専門でやっている人からは突込みが入る。
歴史に興味を持ち始めたくらいの人に一番適した本だと個人的には思います。

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