「就活」と日本社会―平等幻想を超えて (NHKブックス No.1227) の感想

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タイトル「就活」と日本社会―平等幻想を超えて (NHKブックス No.1227)
発売日販売日未定
製作者常見 陽平
販売元NHK出版
JANコード9784140912270
カテゴリジャンル別 » 資格・検定・就職 » 学生の就職 » 就職ガイド

購入者の感想

一見企業は学生間の平等を担保した採用活動を行っているように見えて、実は主な採用対象を偏差値が上位クラスの学生に限定している場合がある。それにも関わらず中堅以下クラスの大学の学生たちは「もしかすると自分たちも大手企業に入れるかもしれない」という「平等幻想」に囚われることでそうした企業の選考にのめり込み、それが苦しみを生んでいないか。それよりは自分の大学のレベルに合った分相応な就職先を見つけることに注力した方が無駄に苦しまずに済むのではないか・・・ざっくり言えばこれが本書の肝となるメッセージ。著者は「平等という幻想、誰でも自由競争でより高い階層に移動できるのではないか、という幻想が人の負荷を増やしてしまっているのではないだろうか」・「平等であるという幻想、より高い地位を獲得できるのではないかという希望が人々を苦しめるのである」と問題を規定している。

本書には様々な問題点があると感じられたけれど、その中で最大のものは「学生は大手企業を志向している」と学生の行動パターンを一括りにし、中堅以下クラスの大学の学生がどのように就活に取り組んでいるのかに関する論証が抜け落ちている点だと思う。その論証がなされないまま中堅以下クラスの大学の学生たちに「平等幻想を捨てよう」と説いても説得力が無い。

この点、例えば小杉礼子氏が編集した「『大学生の就職とキャリア――「普通」の就活・個 別の支援』」という本には、偏差値が低い大学の学生は上位レベルの大学の学生と比べると就活のスタート時期が遅かったり、活動量が少なかったりする(つまり、企業の選考を積極的に受けないということ)旨の調査結果がある。即ち、著者が危惧する「平等幻想に囚われて大手企業の選考に数多くアタックして撃沈して疲弊する中堅以下クラスの大学の学生たち」は実のところそれほど存在しないのでは?ということは、彼らに「平等幻想」を捨てることを説いても、それはただの空回りなのでは?著者は「平等という幻想を手放せば就活も採用も変わる」と言っているけれども、本当にそれほどまでの効能があるのか?

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