オーウェル評論集 1 象を撃つ の感想

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参照データ

タイトルオーウェル評論集 1 象を撃つ
発売日販売日未定
製作者ジョージ オーウェル
販売元平凡社
JANコード9784582766875
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » イギリス・アメリカ

購入者の感想

 オーウェル著作集第1巻は「象を撃つ」と題し、「経験」をテーマにした文を収録している。タイトル通り、印象的な「絞首刑」「象を撃つ」をはじめ、学生時代の回想記「あの楽しかりし日々」も含めて、イギリス人エリック・アーサー・ブレアがジョージ・オーウェルとなっていく際の出来事を多く取り扱っている。

 しかし読んでいて思ったのは、同じような経験を持つ人ならば他にも多くいたに違いないのに、なぜオーウェルはオーウェルたり得たのかということだ。そこを考えると、経験を感受して考え、表現する主体こそが大事なのではと思えてくる。事実、バーナード・クリックによるオーウェルの伝記を見ると「あの楽しかりし日々」で書かれていることは実際の生活と外れるところが少なからずあるようで、それは「パリ・ロンドン放浪記」「カタロニア賛歌」でも幾分あったようだ。しかし結局残ったのはオーウェルの作品で、そんな虚実が微妙に交じり合った、小説かエッセイかルポルタージュかジャーナルか区分の難しいところの作品でこそオーウェルは真価を発揮している。「絞首刑」「象を撃つ」も回想の形をとった文であるだけ、文学的効果を狙っていて、それは「なぜ私は書くか」でも述べられている原則に則っている。

 経験の回想は経験そのものではないということにも気づく。幾分文学的効果の強い一冊。
 

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