The Dark Tower VII (King, Stephen) の感想

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参照データ

タイトルThe Dark Tower VII (King, Stephen)
発売日販売日未定
製作者Stephen King
販売元Simon & Schuster Audio
JANコード9780743538107
カテゴリ » 洋書 » By Publisher » Simon & Schuster

購入者の感想

’82年から’04年まで、22年にわたって書き続けられ、キング自らも「ライフワーク」と呼んでいる七部作の最終章。ほかの多くのキングの作品との内容的なつながりがある。というよりも、いくつかのキングの作品群の中心であるのかもしれない。ところがそれにしては何とも訳の分からない物語なのだ。まずは物語の大枠自体があやふやである。徹底的なリアリストとして描かれている主人公ローランドだが、彼の目標は実在するかどうかも分からない塔を目指すと云う甚だ怪しげなものだ。その上、塔に辿り着いてから何をどうするのか、主人公どころか登場人物の誰一人何も分かってないようだからおかしな話である。挙げ句に、或る人物が登場し、我々読者の混乱は極みに達した。第二部ではドアが中間世界と我々の世界を繋いだが、中盤を超えてフィクションとメタフィクションの間にも通り道が出来たようであった。ブラウニングの詩、黒澤の映画、などを引用することはあるだろう。しかし全く違う人間の作品に固有の小道具を堂々と登場させることは引用の域を超えてはいまいか?

このようにあらゆる面で不審な物語なのだが、これが滅法面白いのだから困った物であり、この最終第七部も例外ではない。痛切に過ぎる最終第五章、深い余韻を残すエピローグ、最後の最後に全てに決着がつくコーダ。1部からローランドと彼のカテットの行方を追ってきた読者が、この7部を息を呑まずに読み通すことは不可能である。わたくしは暫く立ち直れなかった。しかし改めて、安易に物語を着地させないキングを好きになった次第である。邦訳が出版されれば大変な議論を巻き起こすだろうが、わたくしは断固キングを支持する。同士諸兄はどうだろうか?キングのファンでこのシリーズを未読の方には「もったいないぜ!」と申し上げたい。最大級の悦楽と衝撃を是非味わって欲しい。

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