靖国戦後秘史―A級戦犯を合祀した男 の感想
参照データ
タイトル | 靖国戦後秘史―A級戦犯を合祀した男 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 毎日新聞「靖国」取材班 |
販売元 | 毎日新聞社 |
JANコード | 9784620318301 |
カテゴリ | 歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般 |
購入者の感想
実際に靖国神社にいき、付属博物館である遊就館の展示・売店の販売物をみると、この神社の「異様さ」に驚かされる。
ひと言でいえば「日本は負けていない」ということなのだろう。
外国人の参拝者、とくにアジアの人々が目立つが、一体どのように感じているのか?
ちなみに、靖国神社内には「参拝者へのインタビューを禁じる立て札」が何カ所も見られる(内外の報道関係者や研究者対象だろう)。
靖国には西郷隆盛や新撰組/奥羽列藩同盟は「朝敵」として祀られていなかったが、本書に登場する筑波宮司時代、本殿横に小さな祠が設けられた。
しかし現在は「破壊される」(苦笑)との理由で、壁で遮られ参拝が禁じられている。
「明治維新以降の朝敵(=長州藩の敵)を含む、全ての戦死者を慰霊すること」に反対の勢力(恐らく靖国内)がいるというわけだ。
これは以前ラジオで、保守論客の青山繁晴氏が、口ごもりながらも「ここだけの話」と語っていたから、的外れな推測ではないだろう。
農村史の歴史学者・中村吉治氏は、東大教授で狂信的皇国史観の持ち主・平泉澄に、農村史志望を話したところ
「豚に歴史がありますか。百姓に歴史がありますか」と全否定されたという、日本史学史上の有名な逸話がある。
戦後、平泉澄は皇国史観・常民蔑視思想を全く変えず、公職追放政策解除後の保守界で「復活」するが、その直弟子である、松平宮司がA級戦犯合祀を決断した事実が、本書にはきっちり書かれている。
本書は靖国A級戦犯合祀問題を招いた「責任者」を明確にし、白日のもとに晒したが、「渾身の一冊」とまではいえない。
まだまだ、地道な取材を行い「靖国に秘められた事実」「責任者の正体」を見せつけてほしい。
ひと言でいえば「日本は負けていない」ということなのだろう。
外国人の参拝者、とくにアジアの人々が目立つが、一体どのように感じているのか?
ちなみに、靖国神社内には「参拝者へのインタビューを禁じる立て札」が何カ所も見られる(内外の報道関係者や研究者対象だろう)。
靖国には西郷隆盛や新撰組/奥羽列藩同盟は「朝敵」として祀られていなかったが、本書に登場する筑波宮司時代、本殿横に小さな祠が設けられた。
しかし現在は「破壊される」(苦笑)との理由で、壁で遮られ参拝が禁じられている。
「明治維新以降の朝敵(=長州藩の敵)を含む、全ての戦死者を慰霊すること」に反対の勢力(恐らく靖国内)がいるというわけだ。
これは以前ラジオで、保守論客の青山繁晴氏が、口ごもりながらも「ここだけの話」と語っていたから、的外れな推測ではないだろう。
農村史の歴史学者・中村吉治氏は、東大教授で狂信的皇国史観の持ち主・平泉澄に、農村史志望を話したところ
「豚に歴史がありますか。百姓に歴史がありますか」と全否定されたという、日本史学史上の有名な逸話がある。
戦後、平泉澄は皇国史観・常民蔑視思想を全く変えず、公職追放政策解除後の保守界で「復活」するが、その直弟子である、松平宮司がA級戦犯合祀を決断した事実が、本書にはきっちり書かれている。
本書は靖国A級戦犯合祀問題を招いた「責任者」を明確にし、白日のもとに晒したが、「渾身の一冊」とまではいえない。
まだまだ、地道な取材を行い「靖国に秘められた事実」「責任者の正体」を見せつけてほしい。
毎日新聞は経営は滅茶苦茶だが新聞記者らしい個性派が多く、手間ひまかけた長期連載は充実したものが少なくない。本書もそんな連載企画をもとに加筆、増補したものだ。
靖国とA級先般合祀を巡る二人のキーマン宮司に焦点を当て、綿密な取材を重ねて合祀の経過を明らかにした点は高く評価できる。相当に取材に時間をかけていることがわかる。戦後の一時期、「リベラルな靖国」の時代があったことも初めて知った。
数人の取材班が書き起こした草稿をキャップが統括して仕上げたというだけあり、記述には統一感があり、緊張感が漂う文体と運びもなかなかよい。
惜しむらくは、社論への配慮だろうが、合祀への反対姿勢が行間からにじみ出てしまっている。ここはあえて価値判断を突き放し、あくまで冷徹で醒めた「歴史の証人」に徹してほしかった。そこだけがちょっと減点。
靖国とA級先般合祀を巡る二人のキーマン宮司に焦点を当て、綿密な取材を重ねて合祀の経過を明らかにした点は高く評価できる。相当に取材に時間をかけていることがわかる。戦後の一時期、「リベラルな靖国」の時代があったことも初めて知った。
数人の取材班が書き起こした草稿をキャップが統括して仕上げたというだけあり、記述には統一感があり、緊張感が漂う文体と運びもなかなかよい。
惜しむらくは、社論への配慮だろうが、合祀への反対姿勢が行間からにじみ出てしまっている。ここはあえて価値判断を突き放し、あくまで冷徹で醒めた「歴史の証人」に徹してほしかった。そこだけがちょっと減点。