私たちはなぜ働くのか マルクスと考える資本と労働の経済学 の感想
参照データ
タイトル | 私たちはなぜ働くのか マルクスと考える資本と労働の経済学 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 佐々木隆治 |
販売元 | 旬報社 |
JANコード | 9784845112777 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論 |
購入者の感想
『資本論』の内容を無機質的なカテゴリーに図式化している「入門書」が多いなかで、本書はタイトルの通り「賃労働」を軸に、『資本論』における理論の有機的なつながりをわかりやすく叙述している『資本論』第一巻入門の良書である。
「労働することはどういうことか」という問いからはじまり、現代に生きる私たちの労働の在り方である「賃労働」が必然的に苦しみをもって現れてくる理論的背景をときあかす。そして賃労働の理論的な分析に基づいて、この働き方を乗り越え、本来の「自由な」労働を取り戻すための理論的支柱を打ち立てている。もちろん、理論的分析は『資本論』の叙述のとおり、商品の分析から始まる。
全体を通じてマルクスのテキストに内在した解説をおこなっており、各章ではそれぞれのテーマの要点がコンパクトに、かつ明快にまとめられている。マルクス以降のマルクス主義者によって行われてきたテキストから逸脱したマルクス理解が跋扈しているなかで、テキストそのものに基づいてマルクスを理解することは、テキスト解釈や理論研究の側面においてだけではなく、現代の問題をどう捉えて、どう対抗策を打ち出していくかという実践的な側面においても必要不可欠である。また、『資本論』そのものを読むだけでは難解な箇所も、本書で当該個所の理論的骨子をつかむことによって理解を深めることが可能となるだろう。
本書を読み込むことによって、マルクスが『資本論』で言わんとしていたことの理解が深まることは間違いない。併せて、資本主義社会を生きる私たちの働き方がどのようなものであるかをつかむことで、そこから生じるいろいろな問題をより本質的に理解できるようになるだろう。
「労働することはどういうことか」という問いからはじまり、現代に生きる私たちの労働の在り方である「賃労働」が必然的に苦しみをもって現れてくる理論的背景をときあかす。そして賃労働の理論的な分析に基づいて、この働き方を乗り越え、本来の「自由な」労働を取り戻すための理論的支柱を打ち立てている。もちろん、理論的分析は『資本論』の叙述のとおり、商品の分析から始まる。
全体を通じてマルクスのテキストに内在した解説をおこなっており、各章ではそれぞれのテーマの要点がコンパクトに、かつ明快にまとめられている。マルクス以降のマルクス主義者によって行われてきたテキストから逸脱したマルクス理解が跋扈しているなかで、テキストそのものに基づいてマルクスを理解することは、テキスト解釈や理論研究の側面においてだけではなく、現代の問題をどう捉えて、どう対抗策を打ち出していくかという実践的な側面においても必要不可欠である。また、『資本論』そのものを読むだけでは難解な箇所も、本書で当該個所の理論的骨子をつかむことによって理解を深めることが可能となるだろう。
本書を読み込むことによって、マルクスが『資本論』で言わんとしていたことの理解が深まることは間違いない。併せて、資本主義社会を生きる私たちの働き方がどのようなものであるかをつかむことで、そこから生じるいろいろな問題をより本質的に理解できるようになるだろう。