偽りの薬 バルサルタン臨床試験疑惑を追う の感想
参照データ
タイトル | 偽りの薬 バルサルタン臨床試験疑惑を追う |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 毎日新聞科学環境部 河内 敏康 |
販売元 | 毎日新聞社 |
JANコード | 9784620322827 |
カテゴリ | ジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 医学 |
購入者の感想
「買う価値は無い」との書評を読んでから,覚悟の上で買いました.少なくとも私にとっては価値がありましたので,その報告を.
叫びまくり,怒鳴りまくり,ばたばた走り回り,警察・検察の報道発表の垂れ流しを書き殴り,空虚な「スクープ」を乱発しただけで,社会に貢献するどころか,市民のリテラシーを破壊しまくっていた商売がかつてありました.全盛期は1950年代後半から60年代前半で,今世紀に入る前にすでに絶滅したと思ったら,どっこい生きてた「事件記者」.そんな時代錯誤的なジャーナリストの滑稽な姿を余すところなく描いている点は高く評価できます.
裏を返せば,そのような喜劇性が本書の重大な瑕疵になっています.論旨展開の幼さは高校生の政治経済の授業のレポート並です.確かに漢字かな交じり文字の羅列で日本語を装ってはいるのですが,何が言いたいのかさっぱりわかりません.以上の点ではとても「笑い」は取れず,読み手を不愉快にするだけです.「買う価値が無い」とする書評もこれらの点に起因しているものと思われます.この種の社会問題に関する本を著すのならば,整理した各論点について考察した上で,現状の問題点を指摘し,対策を提案するというのが読者に対する最低限の礼儀だと思うのですが,そのような努力の跡形も見られません.以上を総合して星二つ.
叫びまくり,怒鳴りまくり,ばたばた走り回り,警察・検察の報道発表の垂れ流しを書き殴り,空虚な「スクープ」を乱発しただけで,社会に貢献するどころか,市民のリテラシーを破壊しまくっていた商売がかつてありました.全盛期は1950年代後半から60年代前半で,今世紀に入る前にすでに絶滅したと思ったら,どっこい生きてた「事件記者」.そんな時代錯誤的なジャーナリストの滑稽な姿を余すところなく描いている点は高く評価できます.
裏を返せば,そのような喜劇性が本書の重大な瑕疵になっています.論旨展開の幼さは高校生の政治経済の授業のレポート並です.確かに漢字かな交じり文字の羅列で日本語を装ってはいるのですが,何が言いたいのかさっぱりわかりません.以上の点ではとても「笑い」は取れず,読み手を不愉快にするだけです.「買う価値が無い」とする書評もこれらの点に起因しているものと思われます.この種の社会問題に関する本を著すのならば,整理した各論点について考察した上で,現状の問題点を指摘し,対策を提案するというのが読者に対する最低限の礼儀だと思うのですが,そのような努力の跡形も見られません.以上を総合して星二つ.
自分たちはよく頑張った.汗水たらして頑張った.他の仕事も併行してあるのに頑張った.そういう記述が多い.それがなんなのと思う.余計である.後記にも忙しかった.離婚しそうなほど忙しかった?などのうちわボメ?が書いてある.全くもって笑止千万である.プロの作家ならそんな事は書かない.事の本質とは関係がないからである.
本の名前も悪い.「偽りの薬」とあるが,バルサルタンには降圧効果がある.「偽り」と書くと偽薬と間違われる.いかがなものかと思った.
著者は論文をきちんと読めていないし,読んでもいないであろう.多分,彼らにレクチャーをした医師がいて(そのレクチャーはおそらくは正しいのだろうが)その通りの事を書いているのだろうと推測される.この辺りが新聞記者の限界なのかもしれない.それなら京都大学の由井医師に総説を書いてもらった方が良かった.
しかも本書には明らかな間違いがある.東京慈恵会医科大学の創始者は高木(たかき)であり,“たかぎ”ではない.本書にはわざわざ“たかぎ”とルビがふってある.笑止である.それも高木のLancetに載った論文を読んでないから間違うのである(Lancetの論文著者名にはBARON TAKAKIと書いてある).そんな難しい話で無くても高木兼寛のWikiには「たかき」英語版にも「TAKAKI」と記されてある。その程度の調査もしていない杜撰さが気になった。全体に本書の印象が薄かったのはそういう杜撰な記述があるからかもしれない.
本の名前も悪い.「偽りの薬」とあるが,バルサルタンには降圧効果がある.「偽り」と書くと偽薬と間違われる.いかがなものかと思った.
著者は論文をきちんと読めていないし,読んでもいないであろう.多分,彼らにレクチャーをした医師がいて(そのレクチャーはおそらくは正しいのだろうが)その通りの事を書いているのだろうと推測される.この辺りが新聞記者の限界なのかもしれない.それなら京都大学の由井医師に総説を書いてもらった方が良かった.
しかも本書には明らかな間違いがある.東京慈恵会医科大学の創始者は高木(たかき)であり,“たかぎ”ではない.本書にはわざわざ“たかぎ”とルビがふってある.笑止である.それも高木のLancetに載った論文を読んでないから間違うのである(Lancetの論文著者名にはBARON TAKAKIと書いてある).そんな難しい話で無くても高木兼寛のWikiには「たかき」英語版にも「TAKAKI」と記されてある。その程度の調査もしていない杜撰さが気になった。全体に本書の印象が薄かったのはそういう杜撰な記述があるからかもしれない.