ヴァーチュアル・ラビット の感想

平沢進のソロアルバム三作目。このアルバムをもって科学と祈り等の相反する要素を詰め込んだ初期三部作が完結した。アルバムのテーマはヴァーチュアルリアリティ。満月の夜に現れる月影こそヴァーチュアルリアリティとはこれいかに。でもアルバム制作前に戸川純さんのヤプーズでギター弾きまくったためか冒頭の嵐の海のギターソロが暴れまくっております。ラストのロシアン・トビスコーフもヴァーチュアルリアリティ的な治療法であったりするのでギプノーザから急にロシア贔屓になった訳では無し。このアルバムでは師匠のやりたい放題が極まってます。時空の水から続いた大太鼓のリズムアレンジの完成に、UNDOをどうぞでの老兵士の語りの核心部の早送りは察しなさいな。死のない男が師匠のCM制作のノウハウを活かした曲であり、戸川純さんの起用もこれにて打ち止めの山頂晴れて。ある意味今までの芸風を詰め込むことで次を目指す姿勢は宵越しの銭は持たないならぬヒラサワOSの更新が聴き手に対するマナーと同義。常に新しくある師匠の初期三部作完結、是非とも刮目して戴きたい。

1991年発売のCDを持っていないのでSHM-CDになってリマスタリングされてどれだけ音が向上したのかはわからないのですが、このアルバムはオリジナルの方の皆さんのレビュー通り素晴らしいです。へんてこ音楽好きとしては「我が心の鷲よ 月を奪うな」「ヴァーチュアル・ラビット」「静かの海」にとってもワクワクさせられます。