鉄腕バーディー(8) (ヤングサンデーコミックス) の感想

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タイトル鉄腕バーディー(8) (ヤングサンデーコミックス)
発売日2012-09-25
製作者ゆうきまさみ
販売元小学館
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カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

 強者の論理であるダブルスタンダードは、さらに強い者が現れた瞬間に単に「滑稽なもの」でしかなくなり、崩壊する。 ゆうきまさみがこの作品をリメイクしたのは、アメリカ合衆国の主唱する世界平和に対する違和感が動機だったろうし、現に4,5巻では合衆国を登場させて痛烈に揶揄して見せている。
 しかし、ゆうきまさみの作家としての誠実さを見ることができるのは、そのことよりもむしろそれ以降、この傲慢な強者の役割を連邦警察が担い始めたことである。 連邦においてカペラが極端ではあるものの決して異端ではないということが明らかになるや、バーディーの捜査姿勢こそがお人好しの平和、ともすると「陳腐なもの」のように語られてしまう。 解決策を提示できない彼女は、もちろん合衆国と不戦平和主義との間で板ばさみになる日本を象徴している(ついでにいえばその後ろで身勝手な事なかれ主義を叫ぶつとむが我々日本の大衆ということになる)。
 カペラが千明から反撃を受けたことによって、テロ被害を被った合衆国と同様に専横が正当化されるとすれば、彼女はますます厳しい状況に立たされるだろう。 さらに、局面こそ違えども既に氷川は国民へ恐怖の刷り込みを行い、恐怖にもとづく民意支配までも仄めかしている。 合衆国をなぞるようなこの展開が今後の焦点になるのは間違いない。 その時バーディーがどういう選択をするのか、つとむに何ができるのか(あるいはいかに何もできないのか)が語られるはずだ。
 あくまでエンタテインメントとしてのSFマンガを通じてどのようにこの問題を昇華していくのか全く予断を許さないが、このような題材に真っ向から挑んだゆうきまさみの誠意には心から敬服する。

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