『維摩経』を読む (岩波現代文庫) の感想

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参照データ

タイトル『維摩経』を読む (岩波現代文庫)
発売日販売日未定
製作者長尾 雅人
販売元岩波書店
JANコード9784006003203
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 仏教 » 仏教入門

購入者の感想

仏教学者・長尾雅人が、1983年に岩波市民セミナーで行った講義を元にした本である。
原著は1986年に岩波書店から刊行されている。

著者は、『維摩経』の基本的な世界観について、次のように述べる。
「あらゆる武器を手にして、互いにせめぎ合い、殺し合っている、それがこの世界の姿だということかも知れません。
少なくとも多くのものが「魔事に従っている」ことは事実のようで、『維摩経』にはそういう世界観・社会観があると
いってよいのでしょう」(214頁)

主人公の維摩詰について、「彼は何でもする、背徳的なことでも平気ですると言っていいでしょう」(102頁)とし、
「仏教の魔というのは、単に悪いだけではなくて、ときには改心したりもするような存在」(155頁)だと述べる。

曇鸞の言う「往相」と「還相」という考え方を筆者は参考にしつつ(226頁)、
「『維摩経』に(は)、全く逆な方向を一致させて、『煩悩を断ぜずして涅槃を得る』というような逆説を数多く説く」(224頁)
ことに注目している。

維摩詰が「背徳的」なことをしてでも、世の人を救おうとしていることを、著者は積極的に評価しているのである。

仏教経典の読み方については、
「こういうむつかしい文章が続きますが、それを辛抱して、一応は通読なさるのがよかろうと思います。
わかってもわからなくても、通読するということが重要なのですね」(181頁)
などと指南していて興味深い。

基本的に日本史上における『維摩経』の読まれ方などは、ほとんど説いていない。
内容もやや食い足りない気がするが、入門としては十分のように思う。

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