ジャズ・テナー・サックスのしらべ (CD2枚付) の感想

国内第一線で活躍するジャズテナー奏者、岡淳氏によるテナーサックス用模範演奏&カラオケCD付き楽譜です。位置づけとしては同じくリットーミュージックから発売されている「テナー・サックスのしらべ」の第2弾というところでしょう。

本書は難易度の加減が絶妙です。従来この手の楽譜集は初心者用の眠い楽譜か、もしくは難易度が高すぎて手がつけられないもの（同社の「超絶・・・」やストリングス版等）の両極端でしたが、この楽譜集は全ての曲が「ある程度楽器に熟達していないと吹けないが、時間をかけて丁寧にさらえば確実に攻略できる」レベルに収まっています。岡氏は「難しすぎて演奏できないものにならないよう、けれど聴いて楽しめるよう留意した」と本書冒頭に書いていますが、まさにこの言葉通り。選曲もよく、模範演奏も圧倒的な完成度です。今まで楽譜集を購入しても吹きたくなる曲はほんの一部というのが常でしたが、本書は見事に全曲吹きたくなりました（笑）。

実に満足度の高い楽譜集、ジャズに馴染みの無い吹奏楽テナー奏者にも、ぜひ手に取ってほしい。音楽的価値の低いエチュードをメトロノームに合わせて練習するより、カラオケCDの音程的なガイドがある中で吹く方がイヤートレーニングにもなり効率が良いし、何より遥かに楽しく続けられるはずだから。