優しいおとな (中公文庫) の感想
参照データ
タイトル | 優しいおとな (中公文庫) |
発売日 | 2013-08-23 |
製作者 | 桐野 夏生 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784122058279 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者 |
購入者の感想
新刊が出ると欠かさず読んでいる桐野夏生さんの作品です。
「IN」や「東京島」辺りから少しづつ作風が変化して来たかなと感じつつ、そして今回の新刊でもそれは感じました。
装丁や各章の間に出て来るイラストも(え?これが桐野さんの本?」と思える様な劇画チックな物。
近未来の小説なので挿画・挿絵にスカイエマさんを選択したであろう事はわかりましたが、
今までの作品とはあまりにも違うので驚きでした。
内容は近未来の渋谷でしたたかに生き抜くホームレスの少年・イオンを中心に話が進みます。
地下のシーンが多いので脳内映像だけで息苦しくなる様な展開です。
それでも文章も丁寧で想定もわかりやすいので飽きる事無く読み進める事が出来ました。
本著は好き嫌いに分かれるかと思いますが桐野さんの新たな一面を発見出来る作品となっています。
結構若い世代の方に受け入れられる様なお話です。
「IN」や「東京島」辺りから少しづつ作風が変化して来たかなと感じつつ、そして今回の新刊でもそれは感じました。
装丁や各章の間に出て来るイラストも(え?これが桐野さんの本?」と思える様な劇画チックな物。
近未来の小説なので挿画・挿絵にスカイエマさんを選択したであろう事はわかりましたが、
今までの作品とはあまりにも違うので驚きでした。
内容は近未来の渋谷でしたたかに生き抜くホームレスの少年・イオンを中心に話が進みます。
地下のシーンが多いので脳内映像だけで息苦しくなる様な展開です。
それでも文章も丁寧で想定もわかりやすいので飽きる事無く読み進める事が出来ました。
本著は好き嫌いに分かれるかと思いますが桐野さんの新たな一面を発見出来る作品となっています。
結構若い世代の方に受け入れられる様なお話です。
桐野夏生の小説の主人公はサバイバルを生きる女が多い。
文字通り無人島でのサバイバルだけでなく、サバイバルの舞台は深夜の弁当工場だったり、有名女子高だったり、
変態男のアパートだったりするのだが…。
これはある意味安心して読めるサバイバル小説だった。
もちろん近未来の東京の荒廃は恐ろしいほどだし、ただ単に親に捨てられた子供でなく、ヤマ○シ会を連想させる
カルト的実験集団で育った過去を持たせる辺り、一筋縄ではいかないのだが。
それでも15才の少年イオンはじめ、出てくる少年たちが「グロテスク」の少女たちとは全く違う描かれ方をし
ている(ように感じる)。
イオン、錫、鉄はもちろん、地下のボス、ポンズでさえ別れた妻子が忘れられない純粋さを持つ。
悪意をえぐるような桐野作品の中で、これは異色の、最も純粋な愛にあふれた作品ではないだろうか?
子どもにも安心して読ませられる、と言ったら問題だろうか?
でもそう言いたくなるほど、人間の悪意も醜さも情け容赦なく見据えるいつもの作者とはどこか違う、優しさに
溢れた作品。
挿絵の雰囲気から吉田秋生の「カリフォルニア物語」を思い出して懐かしかった。
思えばあれも親に捨てられた少年たちの都会のサバイバル物語だったっけ。
文字通り無人島でのサバイバルだけでなく、サバイバルの舞台は深夜の弁当工場だったり、有名女子高だったり、
変態男のアパートだったりするのだが…。
これはある意味安心して読めるサバイバル小説だった。
もちろん近未来の東京の荒廃は恐ろしいほどだし、ただ単に親に捨てられた子供でなく、ヤマ○シ会を連想させる
カルト的実験集団で育った過去を持たせる辺り、一筋縄ではいかないのだが。
それでも15才の少年イオンはじめ、出てくる少年たちが「グロテスク」の少女たちとは全く違う描かれ方をし
ている(ように感じる)。
イオン、錫、鉄はもちろん、地下のボス、ポンズでさえ別れた妻子が忘れられない純粋さを持つ。
悪意をえぐるような桐野作品の中で、これは異色の、最も純粋な愛にあふれた作品ではないだろうか?
子どもにも安心して読ませられる、と言ったら問題だろうか?
でもそう言いたくなるほど、人間の悪意も醜さも情け容赦なく見据えるいつもの作者とはどこか違う、優しさに
溢れた作品。
挿絵の雰囲気から吉田秋生の「カリフォルニア物語」を思い出して懐かしかった。
思えばあれも親に捨てられた少年たちの都会のサバイバル物語だったっけ。