たとえ明日世界が滅びようとも の感想
参照データ
タイトル | たとえ明日世界が滅びようとも |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 藤原 新也 |
販売元 | 東京書籍 |
JANコード | 9784487802159 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » は行の著者 |
購入者の感想
この本を購入したのは3年ほど前だが、一人の女性の生と死を描いた冒頭の文章「無限寛容」が心に残り、時々読み返していた。この度再読して、ふと大昔に読んだ太宰治の文章を思い出したので書いておきたい。うろ覚えで恐縮だが、こんな話。
難破した船の乗組員が命からがら岬の灯台の下に辿り着いた。助けを呼ぼうと窓の中を覗くと、今しも夕餉の団欒が始まろうとしている。
「いけねぇ。ここで声をかけたら台無しだ」
次の瞬間、波がざぶんと押し寄せて男は海に呑み込まれてしまった。目撃者のいない夢想じみた奇跡のような話。太宰はこの男の振る舞いを描くことが文学なのだと断言した。
文学はフィクションであり、「無限寛容」は事実に基づいたノンフィクションだろう。しかし団地の一室で人知れず亡くなった無名の女性の孤独死という、世間的には否定的なニュアンスが強い「寂しい死」を「まっとうな死」と救い上げた藤原の深い洞察に満ちたこの文章も、私には奇跡のように思われる。
難破した船の乗組員が命からがら岬の灯台の下に辿り着いた。助けを呼ぼうと窓の中を覗くと、今しも夕餉の団欒が始まろうとしている。
「いけねぇ。ここで声をかけたら台無しだ」
次の瞬間、波がざぶんと押し寄せて男は海に呑み込まれてしまった。目撃者のいない夢想じみた奇跡のような話。太宰はこの男の振る舞いを描くことが文学なのだと断言した。
文学はフィクションであり、「無限寛容」は事実に基づいたノンフィクションだろう。しかし団地の一室で人知れず亡くなった無名の女性の孤独死という、世間的には否定的なニュアンスが強い「寂しい死」を「まっとうな死」と救い上げた藤原の深い洞察に満ちたこの文章も、私には奇跡のように思われる。
何気無い日常を過ごしている私たちが、今読んでおくべき本だと思います。本書を読み終わった後、著者の意見に賛否両論あるかと思いますが、この本を読んで自分なりの感想を持つことが今の日本人に必要だと思います。原発の話、死について、四季の移ろい、山本太郎議員。家族で読んで、感想を話し合って見てください。最近読んだ中では1番内容の濃い本でした。