なまけもの礼讃 の感想

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参照データ

タイトルなまけもの礼讃
発売日販売日未定
製作者北 杜夫
販売元河出書房新社
JANコード9784309022802
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » か行の著者

購入者の感想

著者北杜夫が折に触れて書き綴ってきたエッセイ集で、日記風な具体性を持って書かれているため著者自身がどんな人生を送ってきたか、またどんな毎日を送っていたかがわかる。
5つの章立ては下記のとおりで、合計35編のエッセイで構成されている。
第一章 マンボウの葬式
第二章 マンボウとその妻
第三章 マンボウの食卓
第四章 マンボウとその一族
第五章 マンボウ昔々

これらの章タイトルから、読者はこの本が、著者追悼記念のために編集されたことがわかるだろう。北杜夫のファンであれば既にどこかで読んだことのある内容が多いかもしれないが、このように「追悼」の意図を以てまとめられた一冊だと思うと感慨深いものがある。
斎藤茂吉への想い(父親としての怖れと、歌人としての崇拝)、幼少期の夢のような世界と戦争末期に被った物的及び心的な喪失、戦争直後に経験した食糧難、それらを潜り抜けたところで味わったであろうご家族との平和な日々・・・。多くの読者に、時に紙一重で「反社会的」にして品位あるユーモアにより「がんばらなくてもいい」というメッセージを届けてくれたと思うし、ことさらには言わないまでも「平穏無事」のありがたさに気付かせてくれたと思う。数多い作品とともに、そうした著者の生きざまに感謝したい。

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