ドイツ単語5500 の感想

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独検対策でこの単語帳を購入しました。まず、この本の良いところは他のレビュアーさん達も言及しているように語源で単語を配列しているところだといえます。しかし、そうであれば、ver、entのような細かい前つづりなどについての解説を最初のページに載せるべきだと感じました。私がこれを購入したときは現行の独検２級に８０点ほどで合格できる程度の実力でしたが、やはり各々の前つづりの違いを明確に理解しているというわけではありませんでしたし、そういった解説があればより理解は深まったのではないかな、と感じました。
次にこの本の最も大きな弱点と言えるのが、レイアウトが簡素なところと単語の訳例だといえます。レイアウトについては、郁文堂らしく辞書のように書かれています。単語帳はその内容だけではなく見やすさ、覚えやすさにも重点を置くべきだと思うので、その点についての工夫をしてほしいと感じました。また、単語の訳ですが、この本の単語には古風な訳例が施されているように見えます（例えば、Wurst 腸詰など）。それゆえ、新聞などの現代的な文章を読むうえで、この単語帳で覚えたはずの単語が正しく使えず、結局もう一度辞書を引きなおすという作業をしなくてはならないことが多かったように思えます。このことは、ただ単純に私の能力が低いだけかもしれませんが、しかし、実際にWeltやZeitなどの新聞を読んでいて、この本を辞書代わりに使っていると、うまく解釈することができず、辞書を見て納得する、ということが多かったことを考えれば、単語帳の訳例と現代のドイツ語との間に大きな時間差を感じ取れるように思えます。したがって、この単語帳の使用を検討するときには、使用目的について一度考え、可能であれば一度中身を読んで自分がこの本で単語を覚えられるかどうかを確認することが必要になると思います。

　 単語集は「品詞別アルファベット順」のものと「分野別」にだいたい分けられますが、本書のように
語源中心のものは希少です。ドイツ語の単語は接頭辞や合成語が多いので特に語源中心で覚える
のが効率的です。本書では例えばgebenだけで33語もの派生語が記載されています。自分なりに
派生語の関連性を考えることが楽しく、また記憶に残りやすいです。
　驚くべきことに、本書は昭和31年に著されたものです。現在まで33刷されているということは、こ
のような方針で作られた単語集が今でも必要とされているということです。なぜ本書のような単語集
が新しく刊行されないのでしょうか。というのも活字が小さすぎて見づらく、特に肝心の索引が老眼鏡
をかけてもよく見えないくらい更に小さいのです。内容が良いのに長時間みていられないのが残念です。
活字を大きくするか、ここ60年に頻繁に使われるようになった新語を含めた語源中心単語集を作ってい
ただくか、お願いしたいと思います。
　
（追記1）2015・7・26
　　上記のレヴューはドイツ語を始めて初級文法を終えて単語本あさりをしていたときに書いたものです。
当時はドイツ語を話せるようになりたい、インターネットでSpiegel を読みたいという思いだったのですが
最近ドイツ語に接する姿勢が変わったので、上記と多少矛盾するかもしれませんがご参考までに。
　　そもそも定年退職を期にボケ防止のために始めたのですが、今後ドイツ人と会話をする機会がある
とも思えず、またドイツに行く予定もないので、興味がもっぱら19~20世紀初頭のドイツ文学になりました。
すると、この本の古さがかえって利点になるのです。本書が書かれた頃は「読み・書き」だけが考慮され
ていることは「はしがき」を見ればわかりますし、あの「ドイツ広文典」のまえがきをみてもわかります。
ですから会話を重視している方や独検を受けようとしている方は、この単語集は避けたほうがよろしい
と思います。小学館の独和大辞典で（雅）となっている単語が多数あります。また、雅語ではないですが

この単語集の特徴は、語源を学習用に活用していることである。基礎語をアルファベット順にして、さらに語源的な関連語をその下に配列してあり、覚えやすい。
同語源であっても、学習者にかえって混乱をもたらすようなものは、あえて省いてある。
この単語集は、同族語である英語を、ドイツ語の学習のために上手に利用するようによく考えてあると思う。
5500語入っているが、よく整理されているので、学習の負担感を感じさせない。むしろ、単語家族を見つけて楽しむことができる本である。
地味な本だが、名著だと思う。