経済原論―基礎と演習 の感想

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参照データ

タイトル経済原論―基礎と演習
発売日販売日未定
製作者小幡 道昭
販売元東京大学出版会
JANコード9784130421331
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学

購入者の感想

マルクス経済学特有の常用語をきちんと定義し、その上で論理展開しています。
同じような趣旨のことを、違った言葉で何度も繰り返さない、といった点で、明晰なマルクス経済の本です。
「社会的再生産」というときの社会的という語や、「対象化する」という語の定義や、「労働力の再生産」「再生産表式」などの意味するところが、きちんと説明されていて、長年のもやもや感が晴れました。

まえがきはとても秀逸です。 抜粋・省略して、引用すると次のようになります。

 「知的モノ心がついたころから、この経済原論という建物は、とても気になる存在だった。」
 「どうもこの建物には、もともと、いくつもの窓やベランダといった、開口部があったらしい。
それを、いつもころか、誰かが丁寧に塞いで入り口一つの閉じた空間にしたようだ。
おかげで建物は堅牢そのものになった。でも、なんだかモノ足りない。
それであるとき試しに、漆喰をはがして窓をちょっと開けてみた。
するとミシミシいって建物全体が動いた、ように思えた。
こんな私を建物の住人たちは『建物を壊す気か』とたしなめる。
しかし、この建物はもともと柔構造になっている。そんなに簡単に壊れはしない。」

 「本書は、ちょっと風変わりなところはあるものの、いままでのマルクス経済学の経済原論を、自慢ではないが、一歩もでていない。
直しはしたが、正真正銘の焼き直しだ。
使用した建材はすべて、大正時代に輸入されたマルクス社製の『資本論』の純正品で、ほかの建物からとってきた部材はまじっていない。
た だ、傷んでいるところは私が補修しピカピカに磨いておいた。」

副題に「基礎と演習」とあるように、囲み記事で演習問題が随所にあり、巻末には解答までついています。
マルクス経済学の演習書、しかも解答付きなんていうのは初めて見ました。
本文も、常套句、難解な言葉、言い回しで誤魔化していません。
意味のないところは意味がないとはっきり言いってます。

長いことマルクス経済学に抱いていた

 著者の現時点での研究・教育の集大成ともいうべき著作である。マルクス経済学の理論分野のテキストという体裁をとっているが、内容は決してやさしくない。検討すべき多くの論点や争点が含まれる、というよりもむしろ論点の塊のような本であり、レビューを書くこと自体困難を伴う。
 しかしそれでも、次の2点は確かなものとして言うことができる。まず、著者の研究に向かう姿勢は、マルクスや宇野弘蔵との距離の近さや遠さにより理論の正否を測ることからは最も遠い地点にあり、明確な前提を置き、正確に演繹し、結果を導く標準的な手法を採用していること、理論的にはっきり分析・説明しうることとそうでないこととを分け、それらの違いを曖昧なままにしないことである。そして、本書にみられるように、マルクス経済学には固有の重要な論点が多々含まれており、資本主義を理論的に分析しようとする者にとってはなお真剣に取り組むべき問題が存在することである。

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