終着駅 (河出文庫) の感想

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参照データ

タイトル終着駅 (河出文庫)
発売日販売日未定
製作者宮脇 俊三
販売元河出書房新社
JANコード9784309411224
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » エッセー・随筆

購入者の感想

タイトルどおり、宮脇俊三の著作としての「終着駅」にあたる、没後に集められた未掲載原稿を主体にした随筆集。
そのほとんどが、氏が鉄道紀行作家としての初期から円熟期に入ったころに書かれたものなので、後半に刊行された、同行編集者などとの会話をやたらと載せて文章を稼ぐスタイルの作品とは違って氏特有の朴訥とした温かみを感じさせる文章が大半を占めていて気持ちよく読むことが出来る。
正直、書評集の部分は余計だと感じるのだけれど、それがきっかけで書評掲載作品にも触れることがあるならば、それらを掲載することの意義もまたあるのだろう。

改めて読み返すと、氏が紀行作家として活躍していた時期というのは、鉄道趣味が現在ほど世間に認知されておらず、鉄道ファンにとっては肩身が狭い時代だった半面、国鉄と言う、良くも悪くも採算性を度外視した路線や車輌、列車がひしめいていて現在とは比較にならないほど魅力にあふれていた時代だったんだと、つくづく実感させられた(そのような採算性無視の積み重ねが最終的に20兆円という天文学的な大赤字を生み出したのだけど、それはひとまずおいといてww)。

「はやぶさ」で東京から3時間半ほどで青森に到着でき、博多から「みずほ」「さくら」で2時間弱で鹿児島に着いてしまう(2012年7月の時点では朝8時に西鹿児島もとい鹿児島中央を出発すれば途中新大阪と東京で乗り換えて夕方6時過ぎには新青森に到着できる、うひゃー)一方で、東海道・山陽本線を走る九州寝台列車が全廃され、純粋な意味でブルートレインと呼べる列車が「あけぼの」「北斗星」の2つだけ(「はまなす」は座席車が併結されているから除外)となってしまった現在、もしも氏が健在だったとしてもはたして「実際に自分でも乗ってみたくなる」ような乗車記・紀行文が果たして生まれるだろうか、自分にはそうは思えないのが悲しい。
最近ブームの「国鉄色リバイバル」が、単なる車輌の懐かしさだけではない何かを呼び覚ますからこその人気なんだと思えてならない。
ただの懐古趣味さと言われてしまえばそれまでなんだけれどね。

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