古代史で楽しむ万葉集 (角川ソフィア文庫) の感想

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参照データ

タイトル古代史で楽しむ万葉集 (角川ソフィア文庫)
発売日販売日未定
製作者中西 進
販売元角川学芸出版
JANコード9784043268023
カテゴリ古典 » 日本の古典 » 古代・中世文学 » 万葉集

購入者の感想

萬葉集の時代(仁徳天皇から大伴家持まで)の歴史とそこに登場する人物をわかりやすく解説してくれています。万葉集の歌がその時代の園状況でどのような思いで歌われたかが、非常によくわかります。名著と思います。

万葉集にはいろんな人の名前が登場する。どこかで聞いたことがある名前だけれど、どんなひとだったかよくわからない、そんな名前も結構ある。詠まれた歌を見てみると、単なる抒情や恋愛の歌とは思えない圧倒的な運命を感じざるをえない歌もある。「あしひきの 山のしづくに 妹待つとわが立ち濡れし 山のしづくに」とうたった大津皇子の歌などもそれだ。どこか運命を予感したような抜き差しならぬものと、大津皇子の圧倒的な人格を誰しも感じてしまうと思う。リテラルには心情以外何も書いていないのに。言葉の奥行きを考えさせられる。本書で前後の歴史を読んでみると、果たして歌から得られた「予感」は違わなかったことが分かる。千年以上の年月が経っても伝わるものは伝わるのかも。個人的には、天智、天武、額田女王、持統天皇、大津皇子、石川郎女、などなど壬申の乱前後の歌が何よりも好きだ。雄大でどこか新気風の爽やかさや切実さと思いの強さなど、空前絶後だと思う。本書の筆もこの時代が一番躍動感があり読み応えがあった。万葉集の大スター柿本人麻呂は職業歌人のせいかどことなく技巧的で好きになれない。山上憶良、旅人、赤人などなど、天智〜持統に至る時代に比して歌も面白くなくなっていく。でも本書は小著ながら東歌まで含めてこれらいろんな歌を時代の中で浮かび上がらせてくれた。大切にしたい本だ。

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