権力の日本人 双調平家物語 I (双調平家物語ノート (1)) の感想
参照データ
タイトル | 権力の日本人 双調平家物語 I (双調平家物語ノート (1)) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 橋本 治 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062131230 |
カテゴリ | 古典 » 日本の古典 » 古代・中世文学 » その他の物語文学 |
購入者の感想
橋本治『双調平家物語』本編は、購入しているが実は読んでいなかった。読んでないながらも少しは覗いていて、何かヘンだ、何で大化の改新なんか出てくるんだ、と疑問には思っていた。
で、本書は『双調…』の創作ノートと銘打たれている。一読、呆然。巻擱ク能ハズ。いや、細かい文字がビッシリ詰まっているので、休み休み読みましたけど…
平家物語において平清盛はなぜ悪人なのかという疑問に発して、院政の謎に突き当たり、さらにその起源を探るために摂関時代から平城・嵯峨朝、さらにさらに持統に遡って奈良朝の権力闘争を論じる。続刊として予告されている『院政の日本人』では大化の改新を扱うそうだから、橋本版平家物語って一体ナニモノ? っていう感じ。
本当なら『双調…』本編を読んで感動しているべきだったのだろう。しかし本書は「ノート」と銘打たれながらも決して本編に従属するものではない(と思う)。正直に言わせてもらえば末尾近く、聖武から孝謙への流れの説明にやや見通しの悪さも感じたが、王朝貴族社会についての該博な知識を背景に、徹底的に理詰めで心理の謎を解き明かすことによって浮かび上がる滔滔とした歴史の流れ、そして日本的権力の分析は、まさに小説的想像力の力を見せつけて圧巻。史論の歴史的傑作と読んでおそらく誤りではない。特に、天皇制問題に関心のある向きは必読。もちろん、それ以外の人も必読だが…
国文学者や歴史研究者は、素直にコウベを垂れるべき。続刊が待ち遠しい。
で、本書は『双調…』の創作ノートと銘打たれている。一読、呆然。巻擱ク能ハズ。いや、細かい文字がビッシリ詰まっているので、休み休み読みましたけど…
平家物語において平清盛はなぜ悪人なのかという疑問に発して、院政の謎に突き当たり、さらにその起源を探るために摂関時代から平城・嵯峨朝、さらにさらに持統に遡って奈良朝の権力闘争を論じる。続刊として予告されている『院政の日本人』では大化の改新を扱うそうだから、橋本版平家物語って一体ナニモノ? っていう感じ。
本当なら『双調…』本編を読んで感動しているべきだったのだろう。しかし本書は「ノート」と銘打たれながらも決して本編に従属するものではない(と思う)。正直に言わせてもらえば末尾近く、聖武から孝謙への流れの説明にやや見通しの悪さも感じたが、王朝貴族社会についての該博な知識を背景に、徹底的に理詰めで心理の謎を解き明かすことによって浮かび上がる滔滔とした歴史の流れ、そして日本的権力の分析は、まさに小説的想像力の力を見せつけて圧巻。史論の歴史的傑作と読んでおそらく誤りではない。特に、天皇制問題に関心のある向きは必読。もちろん、それ以外の人も必読だが…
国文学者や歴史研究者は、素直にコウベを垂れるべき。続刊が待ち遠しい。