坊っちゃん (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル坊っちゃん (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者夏目 漱石
販売元新潮社
JANコード9784101010038
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

夏目漱石さんの有名な小説。
よく痛快だと言われている(ような気がする)。
しかし私には最後まで、いつも、どこか哀しかった。

主人公で、語り手である「坊っちゃん」は、ほとんど一人だ。
はじめから最後まで、味方と呼べる人間はほとんどいない。
家族でさえ否定的で、冷淡で、「親譲りの無鉄砲」とはいうものの、
その裏側に乾いた「諦観」すら感じてしまう。
それでも不思議と深刻さを感じさせないのは、
彼が自分に同情しないからだと思う。そして「清」の存在。

もう「坊っちゃん」ではなくなった語り手が語る、
「坊っちゃん」だった頃のエピソードは、それがまっすぐで
痛快であればあるほど、同じくらいの強さで哀しくなる。
面白いのに哀しい。ぽっかりと哀しいのに、十分すぎるほど面白い。
お見事。

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