原発処分先進国ドイツの現実: 地底1000メートルの核ゴミ地獄 の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル原発処分先進国ドイツの現実: 地底1000メートルの核ゴミ地獄
発売日販売日未定
製作者広瀬 隆
販売元五月書房
JANコード9784772705080
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 核・原発問題

購入者の感想

かつて(福島第一原発事故よりも前に)東電のCMで著名な俳優等が、原発で出る放射性廃棄物の地中への格納の可能性を最善の「夢」のように語っていたことがある。それを今でも信じ込んでいる人たちはたくさんいると思う。
この本は、著者広瀬隆氏が、原発廃止を決めたドイツにおける原発解体・廃炉の現場や、核廃棄物最終処分場を取材してきたレポートである。結論として、放射性物質の管理には問題があり廃炉も決して安全に実現できるものではなく、ましてやそのプロセスは希望に満ちた夢とはほど遠いものであることを記録している。
地中深いところでの最終処分場にしても、日本とは異なりドイツには地震や津波の心配はないが、放射性廃棄物を投棄する地中の岩塩層や地下水が爆発のような危険性を誘発しないとも限らない。著者はドイツにおける危険な現状を説明した後で、実は同様の危険なことは、この日本の福島第一原発における廃炉作業や汚染水の処理でも現に生じているのだ、と言い、他人事ではない、と読者に警告している。

比較的大きな文字は読みやすく、しばしば使われる著者特有の太字は強調して(大声で)語りかけているような趣があり、飽きずに読める。
「棄てたくても棄てることができないものを廃棄物というのは間違い。廃物と言うべき。放射性廃物だ。」ということを持論とする人がいたが、まさにそのことを思い起こしながら読んだ。

広瀬隆さんの本はこれまで多数読み共感を持っていたが、本書も非常に興味深いものだった。
山本太郎議員と2013年の3月にドイツでの地層処分の現状を見に行ったレポート。
ドイツの4つの最終処分場予定地の見聞記。しかし、ドイツでの地層処分計画は非常に杜撰でかつその土地が処分に適していないことをレポートしている。
たしかにいずれの地も地震の心配はそれほど無さそうだが、地下水にさらされる危険があり、処分地には適さないという結論がでていて、ドイツでも処分地が中に浮いているという衝撃のレポートだった。広瀬さんからもではどうしたら、いいのかという提案はなく、ただその絶望的な事実だけを提示された。
原子力発電・・・なんて言うものを初めてしまったのだろうか、人類は。これがこの本の感想だ。
また、ドイツでは放射線の管理基準もアバウトなので、廃棄物が再利用されて、フライパンやめがねのフレームになって出回る可能性があるとのこと。もう安いガイガーカウンターを購入して、新しくものを購入したら計るということをしないとならないのかもしれない。
最後にあったドイツエネルギー革命のシンボル「シェーナウ」のレポートはちょっと口直しになるかもしれない。
またドイツの団体の方からもらったという「放射線カルタ」はちょっとほしい。
また、この本とついになる山本太郎議員のDVDもあるそうなので、いずれそれも見てみたい。

原発の最大の問題は利益を得る者とリスクを負う者が別だということだ。
日本の原発でチェルノブイリ級の事故が起こった場合、その損害額は数百兆円に昇ると試算されているが、電力会社には千二百億円の保険加入義務しかなく、原発メーカーも製造者責任を免除されている。結局、福島のように原発の過酷事故が起こったときは国民の税金を使って補償するハメになる。
そこで、原発推進派・反対派双方が納得できる再稼働の条件として、稼働する原発に対し電力会社の全社員及びその家族が各人1~2億円の保証を締結することを提案したい。
 一見厳しい条件のようだが、原発の安全性に絶対の自信を持っているなら家族を説得することなど朝飯前に違いない(私が家族の立場なら即絶縁するが)。どのみち過酷事故で大勢の死者が出れば、大量殺人犯とその家族として糾弾され人生破滅に追いやられるのだ。  今のうちに自覚させてやるのが本当の優しさである。0

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

原発処分先進国ドイツの現実: 地底1000メートルの核ゴミ地獄

アマゾンで購入する
五月書房から発売された広瀬 隆の原発処分先進国ドイツの現実: 地底1000メートルの核ゴミ地獄(JAN:9784772705080)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.