マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行 ――メキシコ・グアテマラ・ホンジュラス・ベリーズの旅 の感想

メキシコの遺跡を旅するに当たり、お勧めの遺跡解説本です。

この本の内容は目新しいことは少ないですが、様々な解説書のポイント事項をまとめて書いてあるので、もう1冊の（古代マヤ・アステカ不思議大全）と併せて読んでおけば、観光に必要な知識はほぼ頭に入ります。
基本は本ですが絵がたっぷりで、さらに各遺跡での見どころがイラストで紹介されてるので、現地で遺跡の壁画を眺めながらイラスト部分を開いて見比べると、壁画の見るべきポイントが分かり、非常に優秀な本でした。

メキシコではこの本を眺めながら遺跡を観光しましたが、現地で私の本を覗き込んだメキシコ人の観光客が、なんて書いてあるのかと私に説明を求め、つたないスペイン語で説明したところ、メキシコにはこんな分かりやすいガイドブックはない！日本人はなんてすごいんだ～！と、とても感激していました。

メキシコやグアテマラの遺跡を旅する前に読んでおきたい（愛読書としたい）お勧めの一冊です。

芝崎さんの著書「古代マヤ・アステカ不可思議大全」を購入し、姉妹本であるこちらの本も購入させていただきました。
特徴的なテンポで進む漫画と絶妙なツッコミが相変わらず面白く、スラスラと読めてしまいます。
驚異の全編手書きも健在。温かみのある素晴らしい本です。

こちらは上記の不可思議大全とは違って旅行記です。
「古代マヤ・アステカ不可思議大全」はガッツリ歴史や文字、暦についての記述がされているので、マヤやアステカなどのメソ・アメリカに興味のある方にしか楽しめないかなとは思いますが(興味あるなら凄い楽しめる!)、こちらは博物館や遺跡の様子、現地で出会った様々な人々との交流が記されており、マヤやアステカにあまり興味がない人でも楽しめる仕様になっております。なので、まずはこちらから入って、メソアメリカ文明に興味が持てたら「古代マヤ・アステカ不可思議大全」を購入するというのもいいと思います。

私は旅行前の芝崎さんと同様に、中米に住む人たちはなんとなく怖いというイメージがありましたが、本書はそのイメージを見事に打ち壊してくださいました。
旅が始まってすぐに出会うこれでもかと親切な方々、面白い方々、読んでいるときは本当に新鮮な気分でした。
もちろん中には悪い人も沢山いるでしょうが、それにしてもこんなに親切でホスピタリティにあふれた人たちの住む場所だなんて思いもしませんでした。この本を読む前までは「中米なんて危なそうで絶対行けないな」などと思っていましたが、今は「行ってみたいかも！」と思うまでになりました。それほどに、芝崎さんが出会った現地の人たちは謙虚さと優しさに富んだ人たちで、逆に態度のでかいアメリカ人や西洋人の方々の方が印象悪く見えるほどです（素敵な人もいたけどね！)。

本書を読んで感じたのは、とにかく人情のある土地だということです。今まで抱いていた中米に対するイメージがひっくり返っただけでも、この本を購入して本当に良かったと思います。

個人的に好きだった人は、ロルトゥン洞窟の「くわおーぺっ」するガイドさん。何言ってるのか分からないと思いますが(笑)、どんな人だったのかは読んでみてのお楽しみです。

歴史ミステリー番組やドラマで頻繁に取り上げられる古代エジプトやローマに比べると、なじみの薄いマヤ・アステカ文明。
これまでこの文明の名を聞いて思い描くのは、ピラミッドの頂上で神に生贄の心臓を捧げる神官や、人類の滅亡を予言すると（一部で）言われる暦くらいで、どことなく陰気なイメージを抱いていました。

しかしこの本を読んで、メソアメリカ古代文明の想像もしなかった愉快な面や明朗さに触れた思いです。マヤ・アステカ文明、特にデザインがこんなにマヌケだとは！また、遺跡や遺物に添えられたユーモアたっぷりのコメントには、いったい何度吹き出したことか。

それはきっと水先案内人である芝崎さんの、面白いもの愛らしいものに対する感性の鋭さあってこそなのでしょう。前作のエジプト本しかりギリシア本しかり、それほど興味のない文明であっても、この方が取り上げるとひとまず読んでみようかなと思わせる何かがあるのです。

専門書を手に取るまではいかないけれども、古代文明ファンとしてマヤ・アステカもちょっと覗いてみたい、という方にはぜひお勧めしたい本と言えましょう。こんな古代文明本、他ではまず見かけません。

これほどまでに情報みっちり、イラストびっちりなのにこのお値段で大丈夫なの？と思わず心配になってしまうほど充実感たっぷりの一冊です。