生き抜くための数学入門 (よりみちパン!セ) の感想

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参照データ

タイトル生き抜くための数学入門 (よりみちパン!セ)
発売日販売日未定
製作者新井 紀子
販売元イースト・プレス
JANコード9784781690056
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購入者の感想

 子供に何らかのスポーツをやらせる親は多いと思う。このとき親は子供がスポーツを通して何を身につけることを期待しているのだろうか。おそらくそれは技術の向上そのものではなく、コツコツと努力を続ける勤勉性、スランプを乗り切る忍耐力、自分自身と向き合う精神力、フェアプレーの精神、指導者や仲間との信頼関係、団体競技で必要とされる協調性、等々といったところなのだろうと思う。そうしたことが身につくのであれば、大会で好成績を残せなくても充分意味がある。

 おそらく著者は数学も同じだと言うのではないだろうか。数学を学ぶことの意義は、数学的概念を理解することそのものにではなく、問題を整理してじっくり考える癖、曖昧な表現を正確な表現に言い換える癖、インチキを見抜くコツ、複雑な問題を単純な問題に分割するコツ、途中で諦めずに最後まで考え通す粘り強さ、時には別の視点から問題を見てみる癖、類推する力、等々を身につけることにあるのだろうと思う。日々の買い物に虚数は必要ないけれど、「二乗したら負になる数」なんて得体の知れないものについてまで文化・言語の壁をこえて話し合える力が身につくのであれば充分意味がある。

 哲学同様、数学も「学ぶ」ものではなく「する」ものなのではないか。数学を学ぶことを通して身につけた考える力や他者と議論するスキルを、実生活で出会う現実の問題(それはマーケットシェアの拡大かもしれないし、人質解放交渉かもしれない。政治活動かもしれないし、生き方の模索かもしれない)に対して使うことが重要なのだ。

 学校で習う数学的概念は実生活ではほとんど使い道がないかもしれない。けれど、数学を学ぶ過程で身につくことが期待できる様々な能力ほど実生活で役に立つものはない。身につけるべきは、テストで高成績を残す技術や知識ではなく、考えて話し合って生きていく力。そういう意味で『生き抜くための数学入門』なのである。

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