メディアと芸術―デジタル化社会はアートをどう捉えるか (集英社新書) の感想

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参照データ

タイトルメディアと芸術―デジタル化社会はアートをどう捉えるか (集英社新書)
発売日販売日未定
製作者三井 秀樹
販売元集英社
JANコード9784087201529
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究

購入者の感想

デジタルメディアによるメディアアート(以下、デジタルメディアアート)を中心に据え論じているものの、著者が主張したいのは、声高に叫ばれるIT時代にあってもアナログ感覚が大切、ということだ。著者の主張も理解できるが、以下の2つの理由から、本書を高く評価することはできない。

(1) デジタルメディアアートの位置付け
著者は、デジタルメディアアートは、テクノロジーに依存しているだけの感性不在のえせアート作品が殆ど、という認識のようだ。確かに、デジタルメディアアートは、表現に用いたテクノロジーがいずれ陳腐化するという宿命を持っている。しかし、例えば、本書で取り上げられた、オールドメディアに属す19世紀に興隆したポスターが、陳腐化を通り越して芸術作品として残ったように、デジタルメディアアートも、いつか、(レトロな感覚とともに)芸術作品として見直される可能性はあるように思われる。その可能性有無は、本書の趣旨から言って、オールドメディアと対比させる等、具体的な議論があって然るべきで、著者の主観のみで判断されるべきではないと思われる。
また、本書の主張は、私の個人的な感覚とも相容れない気がする。私は、例えば、ナム・ジュン・パイクのビデオアートはウォーホルだけでなくモンドリアンやカンディンスキーとも同一空間にあり、その延長上にあるデジタルメディアアートも、旧来の芸術と同一空間に位置する(ようになる)と思う。また、デジタルメディアアートと領域を共有するサブカルチャーに対しても、私は好意的だ。

(2) 本書の構成
本書は良心的な書籍に属するとは思うが、それにしては反復記載が多過ぎる。正味はページ数にして1/4くらいではないだろうか。私は本書を読みながら、同じ映像を繰り返し使い回す民放テレビ番組を連想した。著者は民放番組を低俗と批判するが、同じフォーマットを利用するのは如何なものか。
本書の趣旨にそぐわない写真も散見される。T型フォード、ライト兄弟の飛行機、世界初のコンピュータといった写真を載せるくらいなら、メディアアート作品をさらに載せるべきだろう。

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