The Beach の感想

しかし、外国の方は積極的というか精力的というかタフというか、非常に分量が多いです。まあ、分量が多いだけでつまらなく中身の無いものであれば苦痛以外のなにものでもないですが、ご安心下さい。本作はそんなことはありません。読む価値があります。しかし、何分この分量ですから読むのに苦労するかと思います。でも、是非読んでもらいたいです。特に40歳未満20歳以上の方に読んでもらいたいです。共感することが多いと思います。

さて内容ですが、今ではLOST等によって無人島での生活から人間を探求するということがかなりメジャーになったと思います。今までもこの類いのものは多々ありましたが、時代錯誤がなく、よりリアリティーのある、つまり、人間の良心と醜悪な側面、組織に内在する問題等現代社会の縮図をこうまで描いた作品はこれまでになかったように私は感じます。

読みごたえあります。理想と現実、洗脳と覚醒、崩壊と狂気、実に素晴らしい内容となっています。お勧めの名作です。

　デカプリオ主演の映画「ビーチ」については、あまり好意的な評判を聞いたことがなかった。「なんでやねん。けっこうおもろかったやんけ」と思っていた私だったが、この原作を読んで、少なくとも先にこれを読んだ人は、あの映画にひどくがっかりするのも仕方ないな、と感じた。
　映画とはやはり起こったことのインパクトが違う。映像化し、二時間強に収めるという過程で省かれた、あるいは改変されたエピソードがなんともグッとくる。映画には出てこない魅力的なキャラも何人か出てくる。「ビーチ」での生活模様が長く書き連ねられ、それだけにラストへの兆候がかきたてる不安が重く、ラストの主人公に感情移入ができる。
　この小説は、その世界に長く浸っていたいがために「読み終えるのが寂しい」を言われる小説のうちの一つだろう。