バレエ「海賊」 [DVD] の感想

ルジマートフのアリと、アスィムラートワのメドーラ。一番ダンサーとして脂が乗っている時期の二人の踊りである上に、共に当たり役という事もあって、もう主役二人については文句のつけようがない作品。特にルジマートフは本当に理屈抜きでかっこいいです。第2幕での洞窟シーンでのウ゛ァリエーションは背中や腕の筋肉の動きだけでも美しい!彼にしか出せない色気を感じます。
海賊は冷静に考えると、ストーリー自体は全く大したことのないストーリーなのですが、それをこれだけ飽きさせずに最後まで堪能出来るのはやはり、キーロフは主役だけでなく、脇を固めるソリストのレベルが物凄く高いからでしょう。特に奴隷商人役のランケデムを演じたザクリンスキーが意外や意外。白鳥の湖のジークフリードでは凛とした気品を称えている彼が、この作品では全く違ったコミカルな役を見事に演じていて、まさに役者です。
秀逸なのはやはりキーロフが誇るコールドバレエ。洞窟の中での海賊達の踊りでは目まぐるしく変わる隊形変化を一糸乱れぬ正確さとダイナミックさでこなし、更に3幕の花園の場ではアスィムラートワがワガノワバレエ学校のダンサー達を率いて踊る様はまさに圧巻。この花園の場でのアスィムラートワは本当に美しいです。ただ美しいだけでなくて、気高くて典雅な感じがします。