何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫) の感想

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参照データ

タイトル何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)
発売日2012-02-17
製作者中村 文則
販売元集英社
JANコード9784087467987
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » な行の著者

購入者の感想

言っていることが難しいと感じたり、嫌な感じが残ると言う人は、命や人生、生(性)死についての思考の仕方という意味で、幸せな部類の人間だと思う。
私は、自分の中にそういった根源的な悩みや暗い方向への思考が強い人間だとおもう。そんな私にとっては、登場人物や、その中に見える作者の思想が共感として解る部分が多かった。
読み手を選ぶ作品が知れないが、特に私のような人には、是非勧めたい一冊である。

親に捨てられ施設で育った主人公は今は刑務官の仕事をしており、そこで死刑判決に対して控訴しようとしない殺人犯と出会う。
 中村さんの小説を読むのは初めてなので他の作品については分からないが、この小説は不定形の若い心が抱える、このまま何者にもならないのではという不安、一方で何者かになってしまうことも不安だという不安定さのリアリティをよく伝えていると思う。この作品を書いた時の中村さんは30代初め、すでに50代半ばとなった私にはうまく思い出せないひりひり感を書き抜いた。
 施設での友人の死も、主人公をおおらかに受け止めてくれた施設の責任者「あの人」も、殺人犯の山井の描き方も、どこか型通りで、それをうまくつなぎ合わせてまとめているのではという感想も途中に持ったけれど、「生きろ」というメッセージは伝わってくるし、読みながら時々感じる、生きることにまつわるイヤな感じはリアルだ。これはこの時代を生きる若い人にこそ読まれるべき作品なのでしょう。

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