フランス絵画史 (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトルフランス絵画史 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者高階 秀爾
販売元講談社
JANコード9784061588943
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

高階秀爾は多くの書を世に出しているが、この本は、氏の最も得意とする分野であるだけでなく、肩肘張らず、リラックスして著した一冊といえると思う。若書きの気負いは無く、それまでに蓄積した膨大な知見を、きわめて楽しげに孫に昔話を聞かせるような口調で語りかけてくれる。ページ数は多いが、その気負いの無いリラックスした語り口からつむぎだされる物語に多くの読者は魅了され、一気に読み終えて心地よい読後感を味わうことになるだろう。
氏は中央公論社から「近代美術史−ゴヤからモンドリアンまで」という上下2巻からなる名著を出しており、私もかつてそれで美術史の手ほどきを受けた。その書には作品と向き合い、その作品を徹底的に解剖する病理学者のような鋭いまなざしを感じたが、本書では、少し作品と距離をおいて、歴史的背景を交えながらフランス絵画の辿った道筋を語る余裕を感じる。本書には知的に対象に迫る美術史家の意気込みよりも、美術史という大海の航海をあまた経験した船長が自分の目で見て自分で感じたことを率直に話す視点が多く残されており、とても読みやすい。普段着の氏を垣間見るようなすがすがしさを感じる一冊であり、氏の著作の中でも、書いている氏と書かれた内容の間に何の介在物も無い名著といえる。もちろん、書かれている内容に不満はない。他書を読むにしても本書は割愛することのできない名著であると断言できる。

フランス絵画をルネッサンス(フォンテーヌブロー派)から19世紀末(ナビ派、象徴派)までを、とても読みやすい文章で詳しく解説してある。フランス絵画の本というと印象派、後期印象派の本が圧倒的に多く、それ以外の時代も含んで扱った通史として数少ない貴重な一冊です。

サイズは文庫だが350ページ以上ありドラクロワ、モネ、ルノワール等、誰でもが知っている画家から、美術ファンの間では知られているが、一般の人には知られていないであろうシャンパーニュ、シャルダン等が続々登場します。ルーブル美術館の予習用として読みましたが、おかげで開館から閉館までフランス絵画の展示室にいる羽目になりました。フランス絵画の一冊目、現地に行く人にお勧めです。

巻末の索引、図版目録、参考文献(主に洋書)も文庫としては充実しています。今後もフランス絵画の基準書となる一冊です。

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