内科診療 ストロング・エビデンス の感想
参照データ
タイトル | 内科診療 ストロング・エビデンス |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 谷口 俊文 |
販売元 | 医学書院 |
JANコード | 9784260017794 |
カテゴリ | ジャンル別 » 医学・薬学・看護学・歯科学 » 臨床内科 » 総合診療・プライマリケア |
購入者の感想
好意的レビューは米国帰りのお友達がブログで書いてくれていると思いますので、あまり好意的でない書評をします。
著者は米国感染症専門医とのことで、専門外のところでこれだけ薀蓄を披露できるのはやはりすごいと言わざるを得ません。また、冒頭の章「Evidence Based Medicineの実践方法」は勉強になる部分があります。
ただ、2点気になったことがあります。
1. 著者の経験値が高くないところの記載が極端に弱く、例えば「関節炎」の章では、初歩的な誤り(リウマチ性多発筋痛症でPIPが腫脹するのが特徴的、など)、製薬会社スポンサードの論文結果を真に受けすぎた記載(RAの30-50%がDMARD不応で、そういった患者には生物学的製剤が必要、など)が目立って、残念な感じを拭えませんでした。出典不明のp252の図は、見る人が見れば、この図を作ったひとは普段ちゃんと診療してないんだなぁというのがモロばれです。「喘息」の章「ステロイドの種類による喘息治療の違いなど細かいことは確立されたエビデンスがない」とのことですが、著者のようにソル・コーテフ点滴から入るのは(いわゆる「アスピリン喘息」患者のうち、コハク酸含有ステロイド/パラペンが喘息発作を誘発する比率が高いとされる本邦では)避けたほうが無難でしょう。
2. では、ご専門の感染症絡みの章はどうか、というと、これはあくまで著者がトレーニングを受けた「米国の医療」であって、日本では(ベッドサイドでのグラム染色結果などを意識して)結局どうするか?には全く触れられておらず、文献の羅列のように思われました。少なくとも「豊富な臨床経験」や「高い専門性」を感じて唸らされるような記載はなかったです。
そもそも、総花的な文献の渉猟と批判的吟味のみがEBMの実践か、という、よりFundamentalな疑念もありますが、これだったらMKSAP読んでた方が気が利いてるなぁというのが読み終えた感想でした。和文で内科各分野の「比較的」まともな耳学問が出来るという意味では得難い一著なのかもしれません。
(2014.01.02 11:40 訂正:著者の努力分を汲んでOffensiveに過ぎる記載を削除し、星3つに改めました)0
著者は米国感染症専門医とのことで、専門外のところでこれだけ薀蓄を披露できるのはやはりすごいと言わざるを得ません。また、冒頭の章「Evidence Based Medicineの実践方法」は勉強になる部分があります。
ただ、2点気になったことがあります。
1. 著者の経験値が高くないところの記載が極端に弱く、例えば「関節炎」の章では、初歩的な誤り(リウマチ性多発筋痛症でPIPが腫脹するのが特徴的、など)、製薬会社スポンサードの論文結果を真に受けすぎた記載(RAの30-50%がDMARD不応で、そういった患者には生物学的製剤が必要、など)が目立って、残念な感じを拭えませんでした。出典不明のp252の図は、見る人が見れば、この図を作ったひとは普段ちゃんと診療してないんだなぁというのがモロばれです。「喘息」の章「ステロイドの種類による喘息治療の違いなど細かいことは確立されたエビデンスがない」とのことですが、著者のようにソル・コーテフ点滴から入るのは(いわゆる「アスピリン喘息」患者のうち、コハク酸含有ステロイド/パラペンが喘息発作を誘発する比率が高いとされる本邦では)避けたほうが無難でしょう。
2. では、ご専門の感染症絡みの章はどうか、というと、これはあくまで著者がトレーニングを受けた「米国の医療」であって、日本では(ベッドサイドでのグラム染色結果などを意識して)結局どうするか?には全く触れられておらず、文献の羅列のように思われました。少なくとも「豊富な臨床経験」や「高い専門性」を感じて唸らされるような記載はなかったです。
そもそも、総花的な文献の渉猟と批判的吟味のみがEBMの実践か、という、よりFundamentalな疑念もありますが、これだったらMKSAP読んでた方が気が利いてるなぁというのが読み終えた感想でした。和文で内科各分野の「比較的」まともな耳学問が出来るという意味では得難い一著なのかもしれません。
(2014.01.02 11:40 訂正:著者の努力分を汲んでOffensiveに過ぎる記載を削除し、星3つに改めました)0