Inner Vision: An Exploration of Art and the Brain の感想
参照データ
タイトル | Inner Vision: An Exploration of Art and the Brain |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | Semir Zeki |
販売元 | Oxford Univ Pr |
JANコード | 9780198505198 |
カテゴリ | » 洋書 » By Publisher » Oxford University Press |
購入者の感想
美術と脳はじつは同じようなものだという、考えてもみなかった論を証明していく。もうちょっと厳密にいうとこんな感じ。「美術画家は美を追い求めるときに、余計なものを捨て去る。脳もまったくこれと同じことをしている」
つまり、脳は「印象」を情報としてストックし、本質(プロトタイプ)をつくりあげていく。同じように、画家は脳の中のある風景の「印象」を、カンバスに反映させていくのだと。
とくにおもしろかったのは、線というものを脳がどう捉えているかの話。
脳の新皮質に視覚野や聴覚野などの領域があることはよく知られている。でも、さらにその視覚野の中に、たとえば斜め22°の角度の線にだけ反応する細胞とか、赤40%緑30%青65%の色だけに反応する脳細胞とかがあることはあまり知られていない。秒針が時を刻むのを見つめるとき、脳の中ではそれぞれの角度担当者がつぎつぎバトンタッチしていくらしい。それが連続した映像になるというのだから、脳の精緻さといったらない。
また、人間は斜めの線よりも、水平や垂直の線のほうがよく見えるらしい。となると、モンドリアンがなぜ斜線ではなく垂直線や水平線のみで描いていったのかも、故なしとはならないだろう。
脳科学と美術というふたつの分野にまたがっているけれど偏りはなし。著者は脳科学のほうを専門としているが、そうとう美術への造詣も深い(謙遜はしている)。こんな著者だったから、こうした本も書けるということか。
つまり、脳は「印象」を情報としてストックし、本質(プロトタイプ)をつくりあげていく。同じように、画家は脳の中のある風景の「印象」を、カンバスに反映させていくのだと。
とくにおもしろかったのは、線というものを脳がどう捉えているかの話。
脳の新皮質に視覚野や聴覚野などの領域があることはよく知られている。でも、さらにその視覚野の中に、たとえば斜め22°の角度の線にだけ反応する細胞とか、赤40%緑30%青65%の色だけに反応する脳細胞とかがあることはあまり知られていない。秒針が時を刻むのを見つめるとき、脳の中ではそれぞれの角度担当者がつぎつぎバトンタッチしていくらしい。それが連続した映像になるというのだから、脳の精緻さといったらない。
また、人間は斜めの線よりも、水平や垂直の線のほうがよく見えるらしい。となると、モンドリアンがなぜ斜線ではなく垂直線や水平線のみで描いていったのかも、故なしとはならないだろう。
脳科学と美術というふたつの分野にまたがっているけれど偏りはなし。著者は脳科学のほうを専門としているが、そうとう美術への造詣も深い(謙遜はしている)。こんな著者だったから、こうした本も書けるということか。