Schubert: Complete Sonatas for Pianoforte Solo の感想

シューベルト没後に企画された全集の一環としてブライトコプフ＆ヘルテル社から刊行された楽譜のリプリント版です。なので、オリジナルの刊行年はものすごく古いです。遺作の19/20/21番を含め、完成されたピアノソナタは全曲収録されていますので、19世紀当時の原典版として史料価値はあります。音大の卒論などでシューベルトを研究している方には役立つでしょう。
しかしこの楽譜で演奏することはほとんど不可能でしょう。運指はありませんし、解説もありません。デクレシェンドとディミヌエンドを使い分けていること（後者にはリタルダンドの意味合いも含まれる）など、シューベルトの研究者には常識でも一般的にはあまり知られていない要素も多いのです。演奏するのであればウィーン原典版などをおすすめします。