「中国問題」の内幕 (ちくま新書) の感想
参照データ
タイトル | 「中国問題」の内幕 (ちくま新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 清水 美和 |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480064097 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門 |
購入者の感想
いろいろ問題はあるにせよ、世界の大国のほとんどが権力争いに「選挙」という公平・透明な制度を採用することによって、権力者たちが秘密の宮廷抗争を繰り広げる…という姿はなくなった。中国を除いては。中国はこの10年で政治より経済・社会問題の重要度がはるかに高くなってはいるが、共産中国建国以来から連綿と続く、改革派と保守派の対立は依然続く。中国政治ウォッチャーの第一人者である著者がこの数年出している本は、日中外交や社会問題を論じたものが多かったが、本書では、中国の本丸といえる政治トップの権力抗争を論じた。
大づかみに現代の中南海は、胡錦濤率いる共産主義青年団グループと江沢民率いる上海グループがあり、共青団グループは清廉だが経済に疎く、上海グループは腐敗しているが経済に強い。胡は上海グループ重鎮を収賄で逮捕したり、逆に厚遇したりとたくみに上海閥の影響力を排除しようとする。工作は進んではいるが順調ではない。「太子党」と称する有力幹部の子弟が共産党や国の有力な地位を占める。選挙という儀式を通過している日本でさえ世襲批判が強いのに、有力者の心ひとつで地位や逮捕不逮捕が決まってしまうのだから、中国一般市民の不満は強いだろう。胡は’ケ小平がじきじきに「江の次」と指名したそうだが、死後15年も自らの意志を政治に反映させる’ケ小平も大した政治家である。
現代中国政治の主役たちが過不足なく出てきて、次世代の中国を誰がどのように動かすのか、ある程度参考になった。
大づかみに現代の中南海は、胡錦濤率いる共産主義青年団グループと江沢民率いる上海グループがあり、共青団グループは清廉だが経済に疎く、上海グループは腐敗しているが経済に強い。胡は上海グループ重鎮を収賄で逮捕したり、逆に厚遇したりとたくみに上海閥の影響力を排除しようとする。工作は進んではいるが順調ではない。「太子党」と称する有力幹部の子弟が共産党や国の有力な地位を占める。選挙という儀式を通過している日本でさえ世襲批判が強いのに、有力者の心ひとつで地位や逮捕不逮捕が決まってしまうのだから、中国一般市民の不満は強いだろう。胡は’ケ小平がじきじきに「江の次」と指名したそうだが、死後15年も自らの意志を政治に反映させる’ケ小平も大した政治家である。
現代中国政治の主役たちが過不足なく出てきて、次世代の中国を誰がどのように動かすのか、ある程度参考になった。