教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書) の感想

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参照データ

タイトル教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者本田 由紀
販売元筑摩書房
JANコード9784480065230
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

購入者の感想

本書は、タイトルにある通り、主に学校教育における職業教育の意義を主張するものです。

高校や大学での教育の内容に関しては、従来、何かに特化した教育よりも、普通教育や一般教養が重視されてきました。
人間が持つ多様な可能性を開花させるものとしての教育を重視し理想としてきたのであり、職業教育など、専門的・
個別的な教育を行うことは、学校教育段階では、子どもの可能性を狭めてしまう、と考えられてきたのです。

これに対して、本書では、過去の日本が経験したような高度経済成長が望めない現代にあっては、雇用情勢が厳しく、
現に多くの非正規雇用などが増えてきており、しかも、このような現状を、過去の「日本的雇用」を復活することで
解決することは、もはや不可能である、との認識をもとに、学校教育を離れた若者がその後の職業生活において悲惨
な状況に陥らない(将来に希望を持てる社会を実現する)ための一つの方策として、高校以降の学校教育段階でも、
ある程度の職業教育を取り入れるべきだと主張しています。

特に興味深かったのは、職業的教育を取り入れることが、単に将来の職業人生を豊かにするだけでなく、人間と社会との
関係をも視野に置いているという点です。アメリカの社会学者リチャード・セネットの議論――職業的専門性を身につけ
ることは、仕事の内容に対するコミットメントという価値観を育むものであり、こうしたコミットメントは、あらゆる可
能性の中から自分で自由に自己責任の下に選択・追求することが求められる社会にあって、むしろ人々と社会の結びつき
を強めるものである――を紹介し、評価しています(173頁以下)。

他の箇所でも、一般的・抽象的で柔軟性の高い能力を育てようとする教育は、内容が無限定であるがゆえに、具体的に
必要とされる教育内容・方法を全く示すことができないし、また、子どもに対しても、どのようにして生きてゆけばい
いのかという切実な問題に対して何らの手がかりを与えることができない、と論じている(192頁以下)。

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