俺ルール!―自閉は急に止まれない の感想
参照データ
タイトル | 俺ルール!―自閉は急に止まれない |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ニキ・リンコ |
販売元 | 花風社 |
JANコード | 9784907725655 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » な行の著者 |
購入者の感想
アスペルガー者である著者が描く自閉症の主観的世界。アカデミックな本ではなく、体験談・経験談の類の本。文字が大きいので、300ページあるがすぐ読めると思う。
本書は特に章立てもなく、口述筆記風の文章がツラツラと続く。前半1/3までは、幼い頃や学校時代の(アスペルガー者ならではの)失敗談を綴っただけの本なのかと思ったのだが、途中からそうした失敗を引き起こす認知様式や思考様式への言及も増え、中盤〜後半は面白く読んだ。著者の記述はあくまで主観的なもの、経験談ではあるけれども、客観的・統計的立場に立つ(いわゆる)専門家の文章にはないある種の「凄み」が備わっているように思う。
本書には自閉症スペクトラム全般についての解説は含まれないので、この領域に関して全く未知の読者には概説的な本をあらかじめ一読しておくことをオススメする。
本書の中で、自閉症者に選択を求める際のうまい情報提示の仕方という話が出てくる。これが面白かった。全体像を先に示して、常に今どこにいるのかを明示する、というだけの話なのだ。誰だって全体像を先に提示してもらった方が話を理解しやすくなる。自閉症の人を困らせないような工夫・ノウハウの社会的な蓄積というものは、世の中のほとんどの人にも大いに役立つものだろうと思う。それは、ユニバーサルデザイン同様、特別な人のための余計なコストを社会全体で負担する、ということではなくて、共有されれば誰にとっても望ましいものなのに一部の人しかもっていないノウハウを社会全体で共有する、ということなのだと思う。0
本書は特に章立てもなく、口述筆記風の文章がツラツラと続く。前半1/3までは、幼い頃や学校時代の(アスペルガー者ならではの)失敗談を綴っただけの本なのかと思ったのだが、途中からそうした失敗を引き起こす認知様式や思考様式への言及も増え、中盤〜後半は面白く読んだ。著者の記述はあくまで主観的なもの、経験談ではあるけれども、客観的・統計的立場に立つ(いわゆる)専門家の文章にはないある種の「凄み」が備わっているように思う。
本書には自閉症スペクトラム全般についての解説は含まれないので、この領域に関して全く未知の読者には概説的な本をあらかじめ一読しておくことをオススメする。
本書の中で、自閉症者に選択を求める際のうまい情報提示の仕方という話が出てくる。これが面白かった。全体像を先に示して、常に今どこにいるのかを明示する、というだけの話なのだ。誰だって全体像を先に提示してもらった方が話を理解しやすくなる。自閉症の人を困らせないような工夫・ノウハウの社会的な蓄積というものは、世の中のほとんどの人にも大いに役立つものだろうと思う。それは、ユニバーサルデザイン同様、特別な人のための余計なコストを社会全体で負担する、ということではなくて、共有されれば誰にとっても望ましいものなのに一部の人しかもっていないノウハウを社会全体で共有する、ということなのだと思う。0